ロシアのエネルギー、防衛、金融部門に対する制裁は当初、1年間の計画で14年7月に導入された。ウクライナのクリミア半島をロシアが編入したことに対するEUの最も強硬な対応だった。EUはロシアがウクライナ東部の分離主義者を支援しているとも主張している。
EUの制裁に対し、ロシアは西側からの食料品輸入の大半を禁じる措置で対抗した。米国もロシアに対しては制裁を科している。
2月に停戦が合意されたものの、ここにきて親ロシア派の分離主義者とウクライナ政府軍との戦闘は、2月のミンスクでの停戦合意を破る形で再び激化しており、ロシアと西側は非難の応酬を繰り返していた。EUの制裁延長はこうした中で決まった。
一部の加盟国からは、EUへの主要なエネルギー供給国であるロシアに制裁を科すことを疑問視する声も公然と上がっているが、制裁が延長されたことで西側はロシアへの対応で結束を保った。
先週、ドイツで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議は、ウクライナでの暴力行為が激化すれば、ロシアに対する制裁を強化することを決めていた。会議の前に米国の高官は、オバマ米大統領がEUのリーダーにロシア制裁の維持を要請すると明らかにしていた。
EUは3月の首脳会議(サミット)で、和平合意をロシアが完全に履行するまで制裁は解除しないことで一致。ミンスクでの合意はウクライナ政府が国境管理を完全回復する期限を今年の年末と定めていることから、制裁も年末まで延長されることが事実上決まっていた。今回の合意はそのことを正式に制裁を確認した形だ。
来年1月末まで制裁を延長したことで、今年12月のEU首脳会議ではロシアが和平合意を遵守しているかどうかを協議することが可能になる。