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花總まりさまの歌う「私だけに」に しがらみの中を日々生きる世の女性たちの声なき声を学ぶ|おたぽる

 先日、CSで放送されている宝塚歌劇専門チャンネルタカラヅカ・スカイ・ステージ』を見ていましたら、とある男役スターさんが「好きな言葉は?」との問いに、「『今日の苦労は明日の楽』『まだいい、は、もうだめ』の2つです」と真面目な顔で答えておられました。「今日がんばれることはがんばっておく」「やるべきことを後回しにするのはだめ」という趣旨だと思うのですが、いまどきのアラサー女子がこんなにもストイックな言葉を吐くでしょうか? タカラジェンヌって、本当にご自身と真剣に向き合い、自分自身と闘っておられるのだなと涙が出そうになります。

 宝塚はいつの時代も、窮屈な思いをしながら、それでも平凡に日々を生きていかざるを得ない女子の心の支えであったのでしょう。2014年4月に宝塚100周年の記念式典で歌われた、瀬戸内寂聴さん作詞の「虹の橋 渡りつづけて」には、「ああタカラヅカ それは母の切なくすがる夢のいこい ああタカラヅカ それは祖母の永遠(とわ)の甘い夢のゆりかご」という歌詞がありました。また少し古い小説ですが、有吉佐和子『紀ノ川』にも、主人公の娘である文緒が生徒規則に反抗してタカラジェンヌを真似た緑の袴で通学するくだりがありました。


 つまりこの「私だけに」は、宝塚で夢のひと時を過ごした後、それでも現実の生きづらさとなんとか折り合いをつけながら生きていく、世の圧倒的大多数の女子の気持ちを、身もふたもなくそのまんま歌詞にしてしまった“共感ソング”なのではないかと思います。wojoが初めてこの曲に接した時はまだまだお気楽な18歳でしたが、そんなwojoでさえも、「なんか、すごくわかる!」と激しく胸に迫ってくるものがあったことを記憶しております。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150609#1433846610
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150530#1432982290