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日刊ゲンダイ|忘れられた「成長戦略」が示す安倍政治の本質

 成長戦略がアベノミクスの「第3の矢」であったことなど、多くの国民はもう忘れているだろうが、毎年6月には出されることになっていて、22日に政府が決めたのがその3度目である。今年はまた一段と中身が薄くて、毎日は「成長戦略、目玉乏しく」、日経は「成長戦略、即効性が課題」という見出しで不満げに報じた。


 ところが、その日経の株式面の人気コラム「大機小機」18日付では筆名「隅田川」子が「慣例化した成長戦略」と題して、「今までの成長戦略は『戦略』の名に値しなかった。……『市場に歓迎されるか』『新しい内容や目立った内容が含まれるか』ではなく、『オーソドックスな経済的知見に基づくか』『長期的な成長に資するか』で評価されるべきだ。戦略を打ち出す側も、期待する側も考え方を改めたほうがいい」と、より根本的な批判をしていた。


 実際、アベノミクスは、金融緩和を通じて株価をつり上げれば人々が景気がよくなったと錯覚して財布の紐をといて消費にお金を回し始めるだろうという、全く非オーソドックスなブードゥー(おまじない)経済学に立脚しているので、成長戦略といっても、実体経済がしっかりとした足取りで回復に向かう長期的な展望などとは無縁で、株式市場が好感してくれて目先の株価をはやし立てられればそれでいい、という程度の位置付けしか与えられていない。だから中身も、各省庁に「何か出せ」と声をかけ、役人らが来年度予算に盛り込みたい施策をデスクの引き出しから引っ張り出して、それを並べただけのお粗末なものになってしまう。それでますます目玉に乏しく、株価つり上げにも即効性がないものになるのでは、もう出す意味さえもない。


 自民党中堅がボヤく。


「結局、安保法制もアベノミクスも共通して、この政権がいかに“戦略性”に欠けているかを証明しているようなものですよ。安保では米国を喜ばせたい、経済では市場から喝采を浴びたいという目先狙いばかりなので、すべては寄せ集めで論理的整合性がとれないし、従って国民にうまく説明して説得することもできない。そこを突かれると『我々の政策は正しい。なぜなら私が総理大臣なんですから』と、ワケの分からないことを口走る。こういうことでは、いくら会期を延ばしても政権が行き詰まりかねない」と。


 内閣支持率がついに40%を割って39%(朝日)に落ちたのも、戦略も論理もない安倍政治の本質が見透かされ始めた表れではないか。

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