政府は、地方創生を実現するとともに、いわゆる「東京一極集中」を是正するため、東京都や、その周辺にある国や独立行政法人の研究機関などの地方への移転を積極的に進める方針で、8月末まで誘致を希望する自治体からの提案を募っています。
こうしたなか、政府は酒税の適正な課税などのために酒類の品質分析や鑑定などを行っている独立行政法人・酒類総合研究所の東京事務所の機能を、広島県東広島市にある研究所の本部に移転する方針を固めました。
酒類総合研究所の東京事務所では、これまで経験の浅い杜氏(とうじ)を対象とする講習や広報誌の編集などを行っていて、政府は東広島市の本部にこうした機能を集約することで、業務の効率化が進み、地元の醸造業と連携した情報発信も期待できるとしています。
酒類総合研究所の東京事務所の移転は、地方創生の実現などを目指す政府関係機関の地方移転の第1号となるもので、30日、持ち回りの「まち・ひと・しごと創生本部」で決定されます。
政府は、平成28年度の予算編成で、地方創生の実現に向けた取り組みを加速していくため、今後の方策を示す「まち・ひと・しごと創生基本方針」を30日の臨時閣議で決定しました。
それによりますと、地域に人材と資金を呼び込めるような、生産性の高い産業を取り戻すことで「稼ぐ力」を引き出して、活力あふれる地域経済を構築するとともに、民間の創意工夫を最大限活用するとしています。
また、専門的な知識やノウハウを持つ人材を育成するための「地方創生人材プラン」を年末までに策定するほか、地域の実情に即した少子化対策の取り組みを強化するため、地域別に出生率や未婚率、それに労働時間などを分析して公表することも盛り込みました。
さらに、関係府省庁が連携して地方の先駆的事業や優良事業などを支援する「新型交付金」の財源を確保し、行政と民間や、自治体どうしが連携した取り組みを支援するとしています。