このなかで、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は、集団的自衛権の行使が可能になる「存立危機事態」の認定にあたって、政府が作成する対処基本方針について、「事態認定の前提となった事実などに特定秘密が含まれる場合も考えられる」と述べ、国会に承認を求める際に、一部の情報を開示できない可能性はあるという認識を示しました。
その一方で、中谷大臣は「情報の入手ソースや具体的数値そのものは、明示しない形で情報を整理するなど、特定秘密にかからないように認定の根拠を示すべきだ。国会や国民に適切に情報公開を行い、国会の承認をいただくために必要な情報を可能なかぎり開示するのは当然だ」と述べました。
また、中谷大臣は「国際平和支援法」に基づく自衛隊派遣の基本計画の変更と国会承認について、「承認を必要とする例として、対応措置を実施する国や活動の追加がある。必要としない例として、医療、輸送に加えて補給を実施する場合や自衛隊の部隊などの装備内容の変更などがあるが、決議で、承認を要するという国会の判断が明確になれば、政府として承認を求めることになる」と述べました。
さらに、中谷大臣は、外国軍隊への後方支援で、これまで認められなかった発進準備中の航空機への給油も行えるようにすることに関連して、「部隊の移動、警戒監視、情報収集、輸送などさまざまな目的で運用されるアメリカ軍などの航空機に対して、自衛隊が給油支援を行うことが想定されるが、空中給油機を使用することも法律上は排除されていない」と述べました。
一方、横畠内閣法制局長官は、武力行使の新3要件について、「昭和47年の政府見解の基本的な論理を維持し、これに当てはまる極限的な場合として、『わが国に対する武力攻撃が発生した場合に限られる』としてきた認識を改めた。憲法9条の下でも、自衛のための武力行使ができ、そのための自衛隊も合憲だという理由と同じで、新3要件の下での限定された集団的自衛権の行使も合憲と言える」と述べました。
また、横畠氏は、朝鮮半島有事で、アメリカ軍の艦艇が公海上で攻撃された際の対応について、「具体的な状況によっては、『わが国に対する武力攻撃の着手』と認定できる場合もあるが、できない場合もある。『わが国に対する武力攻撃の着手』の認定は、国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様などにより、あらかじめ定型的、類型的に答えることは困難だ」と述べました。