ユーロ圏各国は7日、ベルギーのブリュッセルで緊急の首脳会議を開き、ギリシャの国民投票を受けての対応を協議しました。
会議のあと、EU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領は記者会見し、ギリシャのチプラス首相から新たな金融支援を求める要請があったことを明らかにしました。
そのうえでトゥスク大統領は、こうした支援を受けるにあたっては、包括的で具体的な構造改革案が必要だとして、ギリシャ政府に対し、今月9日までに提出するよう求めたとしています。
この新たな提案の提出を受けて、ユーロ圏とEU28か国の首脳らは今月12日に相次いで会議を開き、提案の内容を精査したうえで対応を協議するということです。
トゥスク大統領は、「今週末が最後の期限だ。すべての国がこの危機を生んだ責任があり、解決させる責任もある」と述べ、仮に合意が得られなければ、ギリシャ経済と金融システムは混乱に陥り、その影響はヨーロッパ全体に及ぶと危機感を示しました。
ギリシャは国内の資金がひっ迫するなかで、今後も多額の国債の償還が控えていて、ユーロ圏の首脳らが初めて期限を区切る形でギリシャに対応を迫ったことで、ギリシャの債務問題は新たな局面を迎えます。
ユーロ圏の首脳会議の終了後、ドイツのメルケル首相は、記者会見し、ギリシャ政府が、数年間にわたる金融支援とともに数か月間のつなぎ融資を求めたことを明らかにしました。そのうえで、ギリシャ政府は、8日までにつなぎ融資の要請に必要な改革リストを提出し、さらに9日までに長期的な金融支援に必要な詳細な構造改革案を提出することが期待されているとしています。
ギリシャから要請があったつなぎ融資について、メルケル首相は、「今回の会議の主要な話題ではなかった」と述べたうえで、「つなぎ融資について議論する前に、まずは、長期的な支援に関わる詳細な構造改革案の提出が必要だ」と述べ、ギリシャに新たな案を早急に提出するよう求めました。
ユーロ圏首脳会議のあとで記者団の取材に応じたギリシャのチプラス首相は、「遅くとも日曜日には合意できるよう、数時間のうちに作業を始める」と述べたうえで、「債務の削減や、中期的に必要な支援、そして、ギリシャの経済成長につながる合意を目指す」と述べました。
さらに、チプラス首相は「ギリシャ国民の明確な民意を受けての交渉だ」と述べて、ギリシャ国民が国民投票で財政緊縮策の受け入れを退けたことを、EU側との合意に反映させると強気の姿勢を示しました。
ユーロ圏首脳は7日、ブリュッセルでサミットを開き、閉幕後に共同声明を発表した。トゥスク欧州連合(EU)大統領が声明を読み上げた。
サミット声明
1.ギリシャの深刻な状況を議論した。ユーロ圏全体の金融の安定維持に向けて、ユーロ圏当局はあらゆる必要な措置をとる用意がある。
2.ギリシャの国民投票を受け、チプラス首相は、「欧州安定メカニズム(ESM)」設立条約が規定している、厳格な政策条件を含むフレームワーク内で、新たな支援プログラムを要請することを約束した。
3.既存のコミットメントやわれわれの共通ルールを尊重する合意基盤を構築することが可能かどうか、早急に検討することで一致した。
4.ギリシャ政府は遅くとも9日に、包括的かつ具体的な改革について詳細な提案を行う。3機関が精査し、ユーログループに報告する。
5.12日にあらためて首脳会議を開催する。