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山本芳久

退屈な本は、読み終えるまでの時間がとても長く感じられるが、後で反芻しようとしても、殆ど思い出すに値するものがなく、貧しい時間しか過ごせない。心に深く触れてくる本は、頁を繰るのが惜しくなるくらい速く時間が過ぎてしまうが、後で少し反芻するだけでも、豊かな時間の持続を繰り返し味わえる。