ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会議に出席するためマレーシアを訪れている岸田外務大臣は、日本時間の6日午後、1時間近く、中国の王毅外相と会談しました。
この中で、岸田大臣は、中国が東シナ海で新たなガス田の開発を進めていることについて、「一方的な開発行為を控え、中断している東シナ海でのガス田の共同開発の条約締結交渉の再開に向けて、速やかにテーブルについてほしい」と述べました。これに対し、王毅外相は「日中中間線の中国側の海域は争いのない海域であり、中国側の主権の行使だ」と反論しました。
また、中国が南シナ海で海洋進出を活発化させていることに日本側が懸念を示していることについて、王毅外相が「日本は中国に対して、互いに協力のパートナーとなり、脅威とならないという原則を守ってほしい」と述べたのに対し、岸田大臣は「『国際法に基づかない主張や行為は受け入れられない』という一般的な原則については、中国だけを対象に指摘しているのではない」と述べ、南シナ海でも法の支配を徹底し、一方的な現状変更の試みを行うべきではないという考えを伝えました。
一方、王毅外相は、歴史認識について、「歴史に責任があるという態度で向き合ってほしい」と述べたのに対し、岸田大臣は「安倍内閣は歴代の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」と述べました。
中国の王毅外相は、岸田外務大臣との会談のあと、NHKなどの取材に対して、「ことしは『抗日戦争勝利70年』で、歴史問題を取り上げることは避けられない。中国の国民だけでなく、国際社会が日本がこの関門をどう突破するか関心を持っている。もちろん中国政府も目をこらして見ており、中国の厳正な立場をはっきり伝えた」と述べ、会談の中で歴史認識を巡って日本側に歩み寄りを求めたということです。
そのうえで、王外相は「われわれは日本の軍事・防衛政策の大きな変化を目にしており、このことは、多くの国、とりわけ隣国の心配を引き起こしている。われわれは、日本がこれまでどおり平和的発展の道を歩み続けることを希望する」と述べ、会談では安全保障関連法案の審議の行方を注視する考えを示したことを明らかにしました。