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衆院で法案可決 刑事司法はどう変わるか NHKニュース

まず、取り調べの録音・録画です。
これまで検察や警察が自主的な運用や試行という形で行っていましたが、一部の事件で義務化されます。
対象になるのは、殺人や傷害致死など裁判員裁判の対象になる事件と、特捜部が捜査する事件など検察が独自に捜査する事件で、取り調べのすべての過程での録音・録画が義務づけられます。
しかし、録音・録画をすると容疑者が十分に供述できないと認められる場合や、容疑者が拒否した場合、それに暴力団の事件は例外にするとしています。

次に、欧米では広く使われている2つの捜査手法が新たに日本で導入されます。
1つ目は、事件の容疑者や被告を対象にした「司法取引」です。
容疑者や被告が、共犯者など他人の犯罪を明らかにする供述や証拠の提出をして捜査に協力した場合、見返りとして検察が起訴を見送ったり、起訴した場合でも刑を軽くするよう裁判所に求めたりすることなどができるようになります。
対象となる事件は、汚職や脱税、談合、それに振り込め詐欺などの知能犯罪と、薬物や銃器の犯罪で、捜査機関と容疑者や被告、それに弁護士の3者が合意することが条件になっています。
また、みずからの罪を軽くするために、うその供述をして無実の人を「引き込む」のを防ぐため、容疑者や被告がうその供述や偽の証拠を出した場合は5年以下の懲役にする罰則を設けています。
「引き込み」の防止を巡っては、野党側から「新たなえん罪を生むおそれがある」という指摘が出ていたため、与党と一部の野党は、取引の協議の際には必ず弁護士が立ち会うこととする修正を行いました。
さらに、法案には明記されませんでしたが、法務委員会の付帯決議として、検察が取引の協議について記録を作成して保管することも盛り込まれました。


2つ目は、裁判の証人を対象にした「刑事免責」です。
裁判では、事件について重要な事実を知っている証人が、みずからの刑事責任が問われることを心配して証言をためらうケースがあります。
この制度では、検察が「証言した内容について刑事責任を追及しない」と約束したうえで、本人の意思とは関係なく裁判で証言させることができます。

そして、捜査機関に電話やメールなどの傍受を認める「通信傍受」の対象も広がります。
これまでは、薬物犯罪や組織的な殺人など4つの類型の犯罪に限って行われてきましたが、振り込め詐欺や組織的に行われる窃盗や誘拐、それに児童ポルノの製造など9つの類型の犯罪も新たに加えられます。
法案では、傍受した内容を暗号化するなどして厳格に管理すれば、通信事業者の立ち会いは必要なく直ちに通信を傍受することができるとしていて、法案には明記されませんでしたが、事件の捜査と関係のない警察官が、必要に応じて指導役として立ち会う運用をすることになりました。

さらに、捜査の過程で集めた証拠について、検察が被告に有利な証拠を隠したりしないようにするため、被告側が請求した場合、検察は原則としてすべての証拠の一覧表を開示することが義務化されます。

刑事司法制度の見直しの議論は、厚生労働省村木厚子さんがうその証明書を作成した罪に問われ、無罪が確定した事件などがきっかけで始まりました。
この事件では、村木さんの関与を供述した部下の調書について、裁判所が「検察の取り調べに問題があり信用できない」として大半を証拠採用しませんでした。
また、捜査の過程で大阪地検特捜部による証拠の改ざんが明らかになりました。
こうした事態を受け、法律の改正などを議論する法制審議会に特別部会が設置され、刑事司法制度の見直しについて議論が始まりました。
特別部会では、取り調べの録音・録画をどの事件で義務化するかや、司法取引など新たな捜査手法の導入などが話し合われ、その議論を基に刑事訴訟法などの改正案が衆議院に提出されました。


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