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裁判で勝訴も難民と認定されず 異例の再提訴へ NHKニュース

訴えを起こすのは、9年前に母国のスリランカから日本に入国し、関東地方で暮らしている50代の男性です。
男性は少数派のタミル人で、激しい内戦が続いていた母国を離れ、日本で難民の認定を申請しましたが、法務省に認められなかったため、処分の取り消しを求める裁判を起こしました。
男性は4年前に勝訴し、国が控訴しなかったため、改めて審査が行われましたが、判決のおよそ8か月後に法務省から「内戦が終結し情勢が改善されている」として、再び認定しない決定を受けました。一方で、人道上の配慮として日本での在留が認められましたが、日本語学習や仕事の紹介など、難民としての支援を受けることはできません。
男性は「裁判所は内戦が終結したことも踏まえて難民に当たると判断したのに、法務省が認定しないのは不当だ」として、再び難民の認定を求める裁判を、近く東京地方裁判所に起こすことを決めました。
男性の弁護団によりますと、裁判で難民と認められた外国人が再び提訴するのは初めてとみられるということです。
一方、法務省入国管理局は「訴状を受け取ってから適切に対応したい」としています。

難民の認定を求めて再び訴えを起こすスリランカ国籍の50代の男性は、不安定な立場のまま、支援者の元に身を寄せて暮らしています。
男性がスリランカにいた当時、現地では、政府が優遇する多数派のシンハラ人と少数派のタミル人との間で激しい内戦が続いていました。男性によりますと、タミル人の反政府組織と関係があると疑われたため、政府系の武装集団から狙われた一方、反政府組織からも協力を断ったことを理由に、危害を加えられるおそれがあったということです。親族や友人は次々と殺害されたということで、男性は、兄が難民と認定されたカナダへ逃れようと考え、9年前にブローカーを頼って出国しました。しかし、ブローカーが用意したのが偽造の旅券だったため、経由地の日本で収容されたということです。
人道上の配慮として日本での在留は認められましたが、1年ごとの更新が必要です。スリランカでは、製造業の会社を経営していましたが、今は関東地方の支援者の元に身を寄せ、援助を受けながら仕事を探しています。難民と認定されていないため、国の外郭団体から就職の支援を受けられず、これまでに見つかったのは短期間の仕事だけでした。
難民を対象とした日本語学習の支援も受けられないため、独学で勉強していますが、片言のやり取りしかできず、孤独感が募るといいます。家族を呼び寄せることもできないため、インドで暮らす3人の子どもとは、10年近くも離れ離れのままです。
男性は、「裁判で勝訴すればすべて解決すると思っていたが、今も生活が落ち着かずに苦しんでいる。難民の地位を認めてほしい」と話しています。

法務省によりますと、日本で難民の認定を求める申請は増加傾向にあり、去年、申請を行った外国人は過去最多の5000人に上りました。このうち難民と認定された人は11人で、申請者全体の0.2%でした。
これについて法務省は、「日本の難民認定制度が広く知られるようになって、申請者が増える一方、なかには難民の要件に該当しないケースも増えてきている」としています。
一方、難民を支援する団体は、「日本の難民認定の基準は、ほかの先進国と比較しても厳しく、本来保護されるべき人が認定されないケースも出ている」としています。