今月6日、岐阜県警察本部が、医療法違反の疑いがあるとして岐阜県笠松町の社会福祉法人が運営する診療所などの関係先を捜索しました。
関係者によりますと、その際カルテや診療記録などの資料が押収されましたが、法人側が容疑に関係のない資料まで押収しており違法だとして、岐阜地方裁判所に申し立てていました。その結果、23日までに裁判所が、一部の資料について押収を認めない決定をしていたことが分かりました。
これについて岐阜県警察本部生活環境課の山田俊洋次席は、「捜査は適正に行われており、個別の事件については、コメントを差し控える」としています。一方、法人側の弁護士は、「極めて軽微な事件で、手当たりしだいに捜索し押収したのは重大な問題だ」とコメントしてます。
郷原信郎(@nobuogohara)/2015年08月23日 - Twilog
押収処分が違法だとされた警察は、押収物の原状回復という、これまで経験したことのない困難な状況に直面している。押収物には薬局の処方箋など、重要な個人情報も含まれている。完全に現状回復させるため、捜索時の状況を明らかにし、どのような書類をどう持ち出したのかを明らかにするよう要求する。
岐阜県警違法押収事件の背景に、県・国による「診療所つぶし」 | 郷原信郎が斬る
この事件は、岐阜の笠松町と各務原市で、特別養護老人ホーム、ケアハウス等の介護施設と心療内科のクリニックを兼営する社会福祉法人徳雲会が、医療法違反で、岐阜県警の捜索差押を受けたが、私を含め、美濃加茂市長事件の弁護団のメンバーのうち3名の弁護士が同法人の弁護人を受任し、その捜索差押が違法だとして岐阜地裁に準抗告を申し立てていたものだ。
この背景には、徳雲会が、各務原市内で開業を予定している内科の診療所の開設をめぐる問題がある。
徳雲会は、各務原市の小学校の近隣でケアハウスと心療内科のクリニックを開設している。認知症の老人等の介護に手厚い医療のサポートができるよう、老人介護施設とクリニックを併設しているのである。
それに加えて、さらに手厚い医療サポートを行うため、隣接して内科の診療所を開設しようとしたのに対して、地元の医師会側から強烈な反発が生じたようだ。
同じ市内で内科を経営しているのが、各務原市の医師会長を務め、さらに7年間にわたって岐阜県の医師会長も務める地元医師会の大物だ。
岐阜県の担当部局からは、内科診療所の開設に対して、嫌がらせとも思える様々な調査や指導を受け、厚生労働省の出先である東海北陸厚生局岐阜事務所からも、毎月、時に毎週、監査と称して、執拗な書類提出や事情聴取を強いられ、診療所の運営に重大な支障が生じていた。
後日、岐阜県健康福祉部医療整備課の課長から、徳雲会の理事長に電話がかかってきた。
これらの経緯からすると、警察の捜索は、近く各務原市で開業予定の内科診療所の開設を妨害することを目的に行われたとしか考えられない。