EUのユンケル委員長は9日、フランスのストラスブールのヨーロッパ議会で演説し、EUが現在直面する最大の課題は難民問題だとして、「大胆で結束した行動をとるべきときが来た」と述べました。
EUはことし5月、イタリアとギリシャに到着した、シリアなどからの難民4万人を受け入れる方針を示していましたが、ユンケル委員長はこれにハンガリーに到着した難民も加え、受け入れ数を合わせて16万人に引き上げる案を示しました。
そして、これらの難民を、加盟国で経済規模や人口などに応じて分担して受け入れることを義務づけたいとして、来週の14日に開く臨時の内相会議で協議する方針を示しました。
また、ユンケル委員長は、難民が在留許可を認められるまでの期間、就労が認められるよう、各国に法整備の検討を求めました。
難民の受け入れを各国に義務づける提案には、ポーランドやチェコなど東ヨーロッパの国々が、経済的な負担が大きいなどとして強く反発しており、各国から合意を取りつけられるかは不透明な情勢です。
EUの新たな提案では、これまでに表明していた4万人の難民の受け入れに加え、イタリア、ギリシャそれにハンガリーに到着した、シリア、エリトリア、イラクの難民12万人を追加して受け入れ、各国で分担することを義務づけるとしています。
各国ごとの受け入れ数は、経済規模や人口に応じて割りふられ、EU最大の経済大国ドイツが最も多くて3万1400人余り、次にフランスが2万4000人余り、スペインがおよそ1万5000人となっています。
受け入れの義務化に反対している東ヨーロッパの国々も、ポーランドがおよそ9300人、チェコがおよそ3000人、スロバキアも1500人の受け入れを求められています。
なお、イギリスとアイルランド、デンマークの3か国はEUの難民政策を定める規定から免除されているため、分担の義務を求められていません。