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IoTの普及には、ビットコイン技術の応用が不可欠だ|野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて|ダイヤモンド・オンライン

 IoT(モノのインターネット)によって、製造業の生産性を高めることができると期待されている。政府の成長戦略も、この方向を追求すべきだとしている。


 しかし、IoTを実際に導入するにはさまざまの困難な問題があると、IBMのレポートは指摘している。それらの問題を解決するには、ビットコインの基礎技術である「ブロックチェーン技術を使うことが不可欠」とIBMの研究者は考えており、具体的な実験プロジェクトを推進している。

(「スマートコントラクト」については、拙著『仮想通貨革命』第5章の1を参照)。

 従来の考えであれば、以上の作業は集中的なシステムで行なわれるだろう。


 すなわち、洗濯機の故障、洗剤の残量、電力価格などの情報を中央のデータセンターに送り、あらかじめ決めてあるルールに従って決定を行ない、修理エンジニア、洗剤販売者、家庭内の他のデバイスなどに指令を発する。これは、かつてソ連などの社会主義国家が計画経済で実現しようとした方式だ。


 しかし、後で述べるように、この方式にはいくつかの欠陥がある。最大の問題は、システムを運営するためのコストが高くなりすぎて、経済的に採算が合わなくなってしまうことだ。


 IBMの研究者は、この問題を解決するために、上記一連の作業をブロックチェーンを用いて行なうこととしたのである(「ブロックチェーン」とは、すべての取引を記録する公開台帳。『仮想通貨革命』第1章の1を参照)。


「あらかじめ決められている契約に従い、ブロックチェーンを用いて取引を自動的に行なう」ということは、ビットコインなどの仮想通貨に関しては、すでに実現されていることだ。ところで、「あらかじめ決められている契約」とは、仮想通貨の取引に限定されない。もっと一般的な契約に関して応用できる。そうした可能性は、「スマートコントラクト」として実現できると予測されていた。そして、これまでもインターネット上のドメインの取引などについては、実現されていた(『仮想通貨革命』第4章の1を参照)。


 IBMは、この考えをIoTに持ち込んだのである。これは、「モノの分散型インターネット(DIoT)」という新世代のIoTと考えることができるだろう。