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コラム:失われゆく米FRBの「市場支配力」 | Reuters

これまで金融市場のテーマを設定する存在だった米連邦準備理事会(FRB)が、今では制御不可能な外部の動きに右往左往しているようだ。


9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は中国経済への懸念を一因として利上げを見送った。このことは、かつて世界最強の金利設定主体だったFRBの行動が予想しづらくなっただけでなく、FRB自体、市場心理の変化に対応する能力がずっと衰えたとの印象を一部にもたらした。


過去数年間というもの、FRBは頼りになる権力であり、市場が動揺すれば鎮静化してくれたものだ。


この評価の土台を成していたのは、たとえ実体経済FRBの政策に直に反応しないとしても、金融市場だけは多かれ少なかれFRBの意図通りに動くという信頼感だった。


FRBとは闘うな」が市場参加者の原則だったのである。


しかし、不透明かつ往々にして奇妙な中国の動向に左右されていることを認めたことで、FRBは自らの弱みをさらけ出してしまった。


ソシエテ・ジェネラルのアナリスト陣は顧客向けノートで「FRBはリスク心理をコントロールする能力を失ったと我々は考えている。今ではリスク心理がFRBの政策予想に強い影響を及ぼしているのだが、FRB自体はリスクに対して限定的な影響しか持てなくなっているのが実情だろう」と記した。


これが事実なら、世界市場にとって重要な変化であると同時に、定義上、この変化は自律的に永続していく可能性がある。


FRBなら市場に楽観論を吹き込んでくれるということを、投資家がひとたび信じられなくなれば、次に訪れるのは通常、悲観論だ。世界情勢はFRBよりもずっと脅威に満ち、予想が難しいのだから、リスクプレミアムは上昇し、相場は下落することになる。


ソシエテ・ジェネラルは、市場が前回ストレスにさらされた際には、FRBが金融緩和をより長期間にわたって続けるとの期待が相場を支える一助になったと指摘している。


<今回は違う>


しかし9月17日にFRB金利を据え置くと、世界の株式市場は下落した。


同様に、イエレンFRB議長が先週、年内の利上げを示唆した際、金融市場はほんの一時落ち着きを取り戻しただけだった。つまり、利上げが見送られると市場は不安になるが、最終的に利上げすると言われてもさほど安心しなかったわけだ。


ニューヨーク連銀のダドリー総裁は28日、景気が現在の軌道を進めば年内に利上げする可能性が高いと述べた。


同日の株式市場は大幅下落したが、これは市場が突如として年内利上げを確信したからではなさそうだ。フェデラル・ファンド(FF)金利先物は年内利上げの確率を37%しか織り込まない水準で取引されている。


つまり市場はFRB幹部の発言に耳を貸さず、よそで起こっている出来事に基づいて自分なりの結論を導き出しているのだ。ダドリー総裁とイエレン議長は、自分たちが足を踏み外さず、事態をコントロールしているという印象を与えたいのかもしれないが、過去の政策決定を踏まえると、それは次第に難しくなっている。


株価が大幅下落したのは、FRBの利上げに対する恐怖よりも、中国経済が世界の経済成長に及ぼす脅威が増すとの予想に基づいている可能性の方がずっと高い。


中国が価格の決定主体になり、FRBは決定された価格を受け入れる側に回ろうとしている。FRBは自ら行動を起こすよりも反応する側になり、我々が信じていたよりもずっと小さな影響力しか持たなくなったのだ。

FRBの金融政策も、徐々に所期の効果を発揮できなくなっているのかもしれない。この環境になじむには、少々時間が掛かりそうだ。


#FRB #利上げ