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通知開始へ 知っておきたいマイナンバー制度 NHKニュース

マイナンバー制度を巡っては、今月5日以降、日本に住む一人一人に割りふられた12桁の番号を通知するための「通知カード」が、市区町村から住民票のある住所宛てに簡易書留で届けられます。
この通知カードは、市区町村に申請すれば、制度の運用が開始される来年1月以降、顔写真の入ったICカード「個人番号カード」に無料で交換できます。そして、再来年1月からは省庁などの間で、再来年7月からは国と地方自治体の間で、マイナンバーと結びつけられた個人情報のやり取りができるようになる予定で、制度の本格的な運用が始まります。
さらに、再来年1月には、どの機関が、どんな目的で、自分の個人情報を照会したのかを確認できるなど、さまざまな機能が盛り込まれた専用ホームページ「マイナポータル」の運用も始まります。

マイナンバー制度の導入は、行政の側に大きなメリットがあると指摘されています。
一つは「行政の効率化」です。これまで、それぞれの機関が持っていた個人情報をマイナンバーと結びつけて管理することで、お互いの情報を照会しやすくなり、事務負担が軽減されます。
さらに、「不正の防止」にも役立つとされています。マイナンバーを使うことで、複数の仕事を持つ人の所得や、家族全体の収入を把握しやすくなります。このため、所得の過少申告や、生活保護の不正受給などの防止につながるとされていて、政府は効率的で公平公正な行政を実現できるとしています。
一方で、私たちサービスを受ける側にとっても、「手続きの簡素化」というメリットが挙げられます。例えば、年金の請求手続きを行う際、マイナンバーを示すことで、これまで必要だった住民票や所得証明書が要らなくなります。さらに、年金記録マイナンバーが結びつけて管理されれば、いわゆる「消えた年金問題」のように、支払った年金記録の行方が分からなくなるといった事態を防ぐことにもつながります。

マイナンバー制度を巡っては、さまざまな個人情報がマイナンバーと結びつけて管理されることから、サイバー攻撃などを受けた際に多くの個人情報が流出するのではないかという懸念が根強くあります。
政府は、個人情報を1か所に集めて管理するのではなく、従来どおり、担当部署が別々に管理する「分散管理」を行うため、1つの部署が管理している個人情報が漏れたことをきっかけに次々に情報が漏れる心配はないとしています。さらに、個人情報をやり取りする際には情報を暗号化するため、盗み取られたとしても情報にはたどりつけないと説明しています。
ただ、日本年金機構のシステムから大量の個人情報が流出した問題などを受けて、政府は体制の見直しを急いでいます。具体的には、政府機関へのサイバー攻撃を監視している「内閣サイバーセキュリティセンター」の監視対象を、これまでの中央官庁だけでなく、年金機構のような特殊法人独立行政法人にも段階的に広げるための法律の改正案を早期に国会に提出したいとしています。さらに、来年度の概算要求に「内閣サイバーセキュリティセンター」の予算として、ことしの当初予算を70億円近く上回る83億円余りを盛り込んだほか、専門の人員を拡充するなど体制の強化を図る方針です。
その一方で、予算や人員の限られる地方自治体や従業員や扶養家族などのマイナンバーを把握して管理する必要がある企業では、準備の遅れも指摘されていて、来年1月からの制度の運用開始に向けて課題は残されています。

マイナンバー制度の利用範囲は、「社会保障」、「税」、「災害対策」の3分野に限られていますが、先月、医療や金融に関する業務にも利用範囲を拡大するための法改正が図られました。
具体的には、税の徴収漏れや生活保護の不正受給などを防ぐため、金融機関に対し、預金残高など個人の預金情報をマイナンバーで管理することを義務づけています。また、風しんなど法律に基づく予防接種の履歴や、いわゆる「メタボ健診」の結果などをマイナンバーと結びつけて管理することで、転居しても市区町村や健康保険組合などの間で情報を共有できるようにするとしています。
政府は、今後、制度の利用範囲を、戸籍や証券に関する業務などにも拡大することを目指していて、6月にまとめた新たな成長戦略には、こうした内容が盛り込まれています。

政府は、マイナンバーの利用範囲を段階的に拡大する方針です。
3年後の2018年からは、政府がマイナンバーで個人の預金口座の情報を把握できるようになる法律が先月成立しました。個人がマインナンバーを金融機関に伝えるどうかは任意となっていますが、伝えた場合は、自分のお金を複数の金融機関の口座に分けてもマイナンバーによって合計の預金が把握されることになります。これは政府が国民の預金の情報を把握することで、税を公平に徴収し脱税などを防ぐねらいがあります。
また、マイナンバーによる個人認証の機能を、官民問わずさまざまなサービスに活用することも検討されています。マイナンバーの番号カードにあるICチップには氏名や住所、生年月日など個人を証明する「電子証明書」の機能も組み込まれています。この機能で従来、運転免許証などが使われていた本人であることを証明する手続きが簡素化されるとしています。
さらに、クレジットカードやポイントカードと連携させて、マイナンバーの番号カード1枚に多くの機能を持たせる、いわゆる「ワンカード化」を目指す構想もあります。しかし、預金情報など多くの重要な個人情報を政府が把握しやすくなることや、セキュリティ面への懸念も強く、これらに対する理解が得られるかが大きな課題となりそうです。

国民に番号を割りふって税の徴収や社会保障の給付などに活用する制度は、海外でも導入されています。
韓国では、すべての国民に対して出生時に13桁の住民登録番号が付与されます。17歳になると自治体から住民登録カードも発行されます。この登録番号は、税の申告や年金の受給だけでなく、運転免許証の取得や銀行口座の開設などでも使われています。
北欧のスウェーデンでも、出生時に10桁の国民番号が付与されます。番号の利用は国民の日常生活に幅広く浸透していて、病院や銀行口座の開設のほか、携帯電話の契約、レンタル店での会員登録などでも本人確認に使われているということです。
またアメリカでは、政府がもともと社会保障分野で個人を特定するために導入した番号「社会保障番号」が民間企業などでも本人確認の手段として広く使われています。しかし、本人を装って別人が番号を不正に使ういわゆる「なりすまし」も問題になっていて、セキュリティが課題となっています。このほかにもフランス、エストニアシンガポールなど欧米を中心に番号制度が税などに導入されています。


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