訴えを起こしたのは、青森市内のタクシー会社に勤務する運転手8人です。
タクシー業界の競争の激化で運転手の労働環境が悪化しているとして、国はタクシーの台数を抑制する基準をまとめ、去年1月「改正タクシー特措法」が施行されました。この法律は人口30万人以上の地域が対象で、青森市を中心とする29万人余りの営業区域は対象になっておらず、訴えによりますと、この区域に国の基準を適用した場合、基準を2割余り上回るおよそ800台のタクシーが営業していることになると主張しています。
タクシー運転手の労働組合によりますと、去年の青森県内の運転手の推定年収は177万円で、原告は、低収入の要因は法律に不備があり競争が緩和されていないためだとして、国に対し400万円の賠償を求める訴えを青森地方裁判所に起こしました。国土交通省によりますと、こうした訴えは全国で初めてだということです。
原告の代理人の横山慶一弁護士は「タクシー運転手の収入は、家族を養うことも困難と言わざるをえない。労働環境の実態に合わせた法律にすべきだ」と話しています。一方、国土交通省は「訴状を見ていないので、今の時点でコメントできません」と話しています。