カナダで19日に行われた総選挙では、中道左派の野党・自由党が勝利をおさめ、トルドー党首が次の首相に就任する予定です。これを受けて、アメリカのオバマ大統領は20日、トルドー党首と電話で会談し、選挙の勝利について祝意を伝えるとともに、テロ対策や地球温暖化対策などを巡り、協力関係を強化することを確認しました。
また、双方は、先に大筋合意したTPP=環太平洋パートナーシップ協定の発効に向けてどのように取り組んでいくか話し合いました。ホワイトハウスのアーネスト報道官も20日の記者会見で、「カナダは大筋合意に向けて、重要な役割を担ってきた。TPPはカナダも含めた域内の経済に、前向きな影響を及ぼすと信じている」と述べました。
TPPについてトルドー党首は、自由貿易を支持するとしながらも今のハーパー政権が行ってきた交渉が透明性を欠いているとして、内容を詳しく検討する考えを示しています。
このためオバマ大統領は、トルドー党首に対してTPPの意義を強調し、協定の発効に向けて協力を求めたものとみられます。
#TPP
この中でトルドー党首は、アメリカ主導の有志連合がイラクやシリアで続けている過激派組織ISに対する空爆作戦について、「戦闘任務を終了すると私たちが選挙で約束したことについて、オバマ大統領は理解を示している」と述べ、カナダ軍は離脱する意向をオバマ大統領に伝えたことを明らかにしました。その一方で、トルドー党首は、ISに対抗する勢力への訓練などを念頭に、アメリカが主導する有志連合に協力を続ける考えも伝えたということです。
空爆作戦からの離脱時期についてトルドー党首は明言していませんが、ISの壊滅を目指した有志連合の軍事作戦の行き詰まりが指摘されるなか、カナダの離脱が有志連合のほかの国にどのような影響を与えるのか注目されます。
カナダ次期首相、対「イスラム国」戦からの撤退を米国に伝達 | Reuters
カナダのトルドー次期首相は20日、オバマ米大統領と電話で会談し、過激派組織「イスラム国」に対する有志連合の戦いから手を引くと伝えた。ただ、人道支援や軍事訓練での協力は続ける。