この問題は、WADAの第三者委員会がロシア陸上界の組織ぐるみのドーピングを認定したもので、これまでに国際陸上競技連盟がロシア陸上競技連盟を暫定的に資格停止としたほか、WADAも検体の分析を行っていたロシアの検査機関の公認を一時的に取り消しました。
この問題を受けて、WADAは18日にアメリカ・コロラド州で開いた理事会で、不正に関わったとされるロシアアンチドーピング機構への対応について協議しました。
この中でロシアの理事は「ロシア政府はドーピング根絶に向けて全力を挙げているうえ、ドーピングをしていない選手まで競技に参加する資格を奪われるべきではない」と主張しましたが、ロシアを除いて行われた採決では、ロシアアンチドーピング機構について、WADAの規程を順守していない不適格な組織と宣告することを全会一致で決めました。
WADAは、アンチドーピング機構が規程を順守していない国や地域については国際大会の開催権を与えないよう求めていることから、ロシアは今後、陸上だけでなくオリンピックで実施されているすべての競技をはじめ、多くの競技で国際大会を開催することが難しくなりました。
このほか理事会では、ロシア以外の国や地域でも組織的なドーピングの有無を調査することや、再発防止に向けて国際的な独立検査機関の設置について、作業部会を立ち上げて検討していくことで合意しました。
理事会のあと、記者会見したWADAのリーディー会長は、「ロシアアンチドーピング機構が、ロシア陸上競技連盟とモスクワの検査所と共に、WADAの規程を守っていなかったのは明確だ。ボールはロシア側にあり、彼らは規程を守れるという証拠を示さなければならない。WADAもロシア当局と早く連絡を取り合い、彼らの支えの下、規程を守るための態勢作りを進めていく」と述べ、必要な条件を満たせば、ロシア側に対する措置を解除する意向を示しました。
ロシア政府でアンチドーピングを担当しているナタリア・ゼラノワスポーツ大臣付アドバイザーは、「ロシア政府としては今回の措置に失望しているが、リオデジャネイロオリンピックに間に合うよう、選手やアンチドーピング機構を全力で支援し、WADAの勧告を実行に移す努力をする。ロシアアンチドーピング機構は政府から独立した組織で、われわれはそれが機能していると思っていたが、今後はWADAと連携しながら取り組んでいきたい」と述べ、協力する姿勢を強調しました。