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斜線引かれた遺言書は無効 最高裁が初判断 NHKニュース

裁判で争いになったのは、広島市の80代の開業医の死後、唯一見つかった遺言書で、診療所の金庫に保管され、亡くなる16年前の日付が記されていました。
しかし、遺言書には文字の上から赤色のボールペンで大きく斜線が引かれていたため、相続の対象から外れた長女が、「父が書き損じた年賀状にも同じように斜線が引かれているので遺言書は無効だ」などと訴えました。
1審と2審は、「文字が読める程度の消し方では遺言を撤回したとは言えない」として訴えを退け、長女が上告しました。
20日の判決で最高裁判所第2小法廷の千葉勝美裁判長は、「赤色のボールペンで文面全体に斜線を引く行為は、一般的な意味に照らして、遺言のすべての効力を失わせる意思の表れだ」として、1審と2審の判決を取り消し、遺言書を無効とする判決を言い渡しました。
民法には「自分の意思で遺言書を廃棄した場合は遺言を撤回したとみなす」という規定がありますが、どのように本人の意思を推定するかは明確な決まりがなく、最高裁は斜線を引いただけでも無効になるという初めての判断を示しました。
最高裁によりますと、全国の家庭裁判所で去年受け付けた遺言書の数は、1万6843件と10年前の1.4倍に増えていて、20日の判決はトラブルを解決する指針として注目されそうです。

判決について、民法が専門の早稲田大学の棚村政行教授は、「これまでは遺言書を破り捨てたり、塗りつぶしたりしないと廃棄したとはいえないというのが一般的な解釈だった。遺言書は誰でも簡単に書くことができるだけに、あとに不備が見つかり廃棄する場合も多いので、最高裁は遺言を残した人の意思をできるかぎり尊重するように判断したとみられる」と話しています。
一方で、「今回の裁判では斜線を引いたのが本人かどうかは争いにならなかったが、斜線は文字に比べ、誰が書いたか分かりにくい。斜線が書かれたいきさつをどう判別すればいいのか、議論を詰めていく必要がある」と指摘しています。

平成26(受)1458  遺言無効確認請求事件 平成27年11月20日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判