グロース氏:ポートフォリオからリスク除去を、コヨーテの時代に備え - Bloomberg
ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏は世界経済を刺激しようと中央銀行が政策を運営することで金融市場下落の舞台が整いつつあるとして、2016年の投資ではリターン上昇を目指すのではなく、むしろ投じた資金が減らないように行動するべきだとの見方を示した。
昨年ジャナスに移籍する前はパシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)で世界最大の債券ファンドを運用していたグロース氏は、3日付のジャナス投資見通しリポートで各国中央銀行がこれまでにしてきた行動をギャンブラーに例え、「負けを取り戻すまで紙幣を印刷しながら倍賭けを続けている」と述べた。
「いつか実体経済の悪循環が株式と債券価格の上昇にブレーキをかけ、投資家はワイリー・コヨーテのように周囲を見渡し目の前の崖はどのくらい深いのかと考えるだろう」とグロース氏。ワイリー・コヨーテはアニメのキャラクターで、猛スピードで走り回る飛べない鳥のロード・ランナーを執念深く追い回しては失敗し、そのたびに大けがを負う。
前回とその前の投資見通しリポートで、グロース氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)に政策金利の引き上げを促した。今回のリポートでは、景気低迷からの脱却を図ろうと低金利政策を続ける欧州中央銀行(ECB)と日本銀行が同氏の標的となった。かつてのドイツ・ワイマール共和国や、もっと最近ではベネズエラやアルゼンチン、ジンバブエの例があるように、こうした政策はインフレを誘発しかねないと同氏は警告している。
中央銀行は「換金の必要がまったくないチップを無尽蔵に作り出すように、紙幣を印刷する」カジノのようだとグロース氏は表現。「通貨が妥当なレンジにとどまると投資家が信じられなくなれば、インフレはすぐに目標値に達し、それを超えてしまう」と述べた。
グロース氏は市場の下落は必至だが、そのタイミングについては明言できないとしている。
「中央銀行が急いで政策のボタンを押せば、金融資産を保有する相対的リスクはその分大きくなる」と述べた。
「2016年を迎えるにあたって、ポートフォリオからリスクを徐々に除去していくのが適切と考える」と述べ、「信用リスクを下げ、株式のエクスポージャーを減らし、二けたのリターンを目指すのではなく、プラスのリターンを目指すことに力を入れるべきだ」と説明した。
Gross Says `De-Risk' Portfolios as Wile E. Coyote Time Nears - Bloomberg Business
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151202#1449053025
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151110#1447152373