EUでは一部の国を除いて、域内の移動の自由が原則として認められていますが、難民が押し寄せて混乱が広がっているほか、フランスのパリで起きた同時テロ事件の容疑者が、この原則を悪用するかたちで、各国を行き来していた疑いが強まっています。
このため、EUの執行機関に当たるヨーロッパ委員会は国境管理の在り方を見直す必要があるとして15日、加盟国に対し、新たな提案を示しました。具体的にはEU各国の要員で構成される国境沿岸警備隊を、これまでの数倍の1500人規模に増やして、域外から難民が殺到している国などの国境管理に当たらせ、不法移民の送還を支援する権限も強化します。
また、シリアなどに渡ったヨーロッパ出身の戦闘員が帰国してテロを起こすのを防ぐため、域外との国境では加盟国の国民に対するパスポートの審査を義務化し、必要に応じて顔写真や指紋の照合も行うとしています。
この提案については、17日から始まるEUの首脳会議で協議される予定で、EUとしてはテロや難民の問題を受けて、加盟国間の国境でも検問の導入が相次ぐなか、域外との国境管理を強化することで、域内の移動の自由の原則に逆行する動きを食い止めたい考えです。
#EU