「成年後見制度」は認知症のお年寄りや知的障害のある人など、判断能力が十分でない人に代わり、家庭裁判所に選任された親族や弁護士などが財産の管理を行う制度です。
この制度を巡っては、後見人が生活に関わる意思決定まで代行してしまい、本人の意思が十分に反映されていないのではないかと専門家から指摘されています。
こうしたなか、日弁連の委員会が後見人を務めた経験がある弁護士や社会福祉士などにアンケート調査を行い、960人から回答を得ました。
この中で、冠婚葬祭の支払いや医療行為の判断などで本人の意思をどう尊重するか悩んだことがあると答えたのは全体の89%に上りました。また、本人の意思が確認できない場合に重視するものは、「これまでの生活歴や経緯」が33%、「客観的な本人の利益」が26%、「日常に関わる親族の意見」が19%などとなっていて、後見人がそれぞれの判断で対応している実態がうかがえます。
アンケートを行った水島俊彦弁護士は、「後見人には本人の意思を尊重する義務があるが、リスクを気にするあまり、本人の保護を優先しすぎてしまう傾向にある。本人を支える具体的な仕組み作りも進めていきたい」と話していました。