サウジアラビア原油安長期化へ備え、来年の財政赤字削減 | Reuters
サウジアラビアは28日、来年の予算案を公表した。原油価格が低迷するなか、歳出削減とともに原油以外の歳入源拡大に取り組み、記録的水準の財政赤字を減らす。
サウジアラビアのサルマン国王は28日、閣議を開き、2016年の予算を承認しました。予算は原油価格の低迷が続くなか、歳入が5138億リアル、歳出が8400億リアルとなり、財政赤字が3262億リアル(日本円で10兆4000億円)を上回る見込みです。
これに合わせて、財務省はことし、2015年の予算執行の現状も発表し、11兆7000億円を超える財政赤字になる見通しを明らかにしました。これは、石油関連の収入が73%を占める歳入が予算を15%下回り、歳出が予算を13%上回ったためで、1月にサルマン国王が即位した際に公務員に給付した特別金や、隣国イエメンに対する空爆による軍事費の拡大などが影響したものとみられます。
赤字の補填(ほてん)について、サウジアラビア政府は、国債の発行や対外資産の取り崩しのほか、今後5年間で光熱費や水道料金などに投入されている巨額な補助金の見直しを進めることや、付加価値税の導入を検討しています。
こうした対策は、生活を直撃し、国民の不満につながるおそれがあるため、サウジアラビア政府は、慎重に検討を進めるものとみられます。
2016年の予算の発表を受けて、サウジアラビア政府は一斉に国内のガソリンや光熱費、それに水道料金などを値上げをすると発表しました。
値上げは、今月から来月にかけて実施され、企業や大口契約者だけでなく、国民も対象となり、料金を安く抑えるために投入されている補助金の見直しの一環として行われるものとみられます。このうち、これまで1リットル当たり0.45リアルから0.60リアル(日本円で14円から19円ほど)だったガソリンの価格は24円から29円ほどとなり、50%から70%近い値上げとなりますが、依然として低い水準となっています。
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