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強度は通常の鉄の3倍「超ハイテン」海外生産本格化 NHKニュース

超ハイテンは、通常の鉄の3倍以上の強度を持つ鋼材です。使用量を減らしても強度を維持できるため、燃費改善に直結する車体の軽量化につながることから、国内で生産されている自動車の骨格の一部などに使われ始めています。
この超ハイテンについて、新日鉄住金アメリカのアラバマ州の工場で、ことし年間12万トンの量産に乗り出す計画です。
また、神戸製鋼所は中国・遼寧省に建設中の工場で、ことしの春頃から生産を始める計画のほか、JFEスチールも中国、タイ、インドのいずれかの工場で、ことし中に生産を開始する方針です。
自動車の軽量化に向けては、鉄に取ってかわろうとアルミニウムや炭素繊維の開発も進んでいるため、迎え撃つ鉄鋼メーカーは超ハイテンの海外生産をことし本格化させ、現地に展開する日系の自動車メーカーへの売り込みを図ることにしています。
新日鉄住金の上西朗弘上席主幹研究員は「炭素繊維などと比べて短時間で大量生産できるのがメリットで、鉄の競争力をこれまで以上に高めたい」と話しています。

超ハイテンは、自動車向けに日本の鉄鋼メーカーが開発した特殊な鋼材で、通常の鉄より3倍以上の強度があります。300キログラムのおもりを四角い棒状にした鋼材の上に落として衝突させる実験で比較すると、通常の鉄で作った棒は大きくつぶれてしまいますが、超ハイテンの棒は強度が高いため、つぶれる部分が小さくなります。
もともと、鉄は強度を高めると加工しにくくなり、部品に仕上げる途中で割れやすくなりますが、超ハイテンは高温になった鉄を冷やして固める際に、水をかけるタイミングや量などをきめ細かく制御することなどで、強度を高めても加工の際に割れにくくすることが可能になったとしています。
この鋼材を使えば、通常の鉄の3分の1以下の量で強度を維持したまま部品を作ることができるということで、軽量化につながるため国内で生産されている自動車の骨格の一部などで採用が広がり始めています。
一方、自動車の軽量化を巡っては、鉄に取ってかわろうと別の素材の開発も進められています。そのひとつが炭素繊維で鉄の4分の1の軽さで10倍の強度があるといわれ、旅客機の機体や風力発電の風車などに使われています。
ただ、加工に時間がかかることなどでコストは鉄の10倍以上とされていて、自動車では電気自動車の車体の骨格部分などとして使われるのにとどまっていました。このため、炭素繊維を製造する大手繊維・化学メーカーでは、より多くの車種で採用されることを目指し、加工技術を持つ海外メーカーを相次いで買収したり自動車メーカーと共同で研究に取り組んだりして、コスト引き下げに向けた開発を加速させています。
今後、世界的に燃費などの規制が厳しくなり自動車の一層の軽量化が避けて通れないとみられるだけに、さまざまな業種の企業による、より軽くて強い素材の開発競争はさらに激しくなりそうです。