内戦が続くシリア情勢を巡って、アメリカやロシアなどの関係国は、先週、戦闘で包囲された地域を対象に食料や医薬品などの人道支援を始めるとともに、過激派組織IS=イスラミックステートなどへの攻撃を除いて早期に戦闘停止を実現することを目指す方針で合意しました。
これを受けて、アメリカのオバマ大統領はロシアのプーチン大統領と電話で会談しました。
ホワイトハウスによりますと、この中でオバマ大統領は「ロシアがシリアで穏健な反政府勢力を狙った空爆をやめ、直ちに建設的な役割を果たすことが重要だ」と強調したということです。
ロシア大統領府によりますと、これに対し、プーチン大統領は、お互い結束してテロリストに対抗する必要があると伝えるにとどまり、双方の立場の違いは埋まらなかったものとみられます。
また、電話会談で、オバマ大統領はウクライナ東部の情勢を巡り、ウクライナ政府軍と親ロシア派の停戦合意の発効から1年となるものの衝突が続いていることを踏まえ、停戦合意を完全に履行するようプーチン大統領に求めたということです。
ウクライナ東部 停戦合意1年 ロシア依存進む NHKニュース
ウクライナ東部では、政府軍と親ロシア派の停戦合意の発効から15日で1年となります。
合意では、戦闘を停止したうえで、去年の年末までにウクライナ側が憲法を改正して東部に大幅な自治権を認める一方、親ロシア派が掌握している国境管理をウクライナ側に戻し、和平の実現を目指すとしていました。
しかし、東部では、13日から14日にかけてもドネツク近郊などで砲撃があり、政府軍の兵士7人がけがをするなど衝突が続いていて、合意の履行は先延ばしされています。
国連によりますと、双方の戦闘が始まって以降、これまでに9000人以上が死亡したということです。
合意の履行に向けては、ロシアやウクライナ、それにアメリカやヨーロッパの国々が、さまざまなかたちで協議を続けていますが、ウクライナではポロシェンコ大統領の求心力が低下しているうえ、議会の反対もあって親ロシア派への歩み寄りが難しくなっています。
こうしたなか、親ロシア派の支配地域ではロシアの通貨ルーブルが流通し、ロシアからの支援物資が住民の暮らしを支えていて、ウクライナ離れとロシアへの依存が進んでいます。