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市場関係者に聞くマイナス金利 浮かび上がる二つの懐疑的視点|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

日本銀行がマイナス金利政策の導入を決定した1月29日以降、それに関する見解をたくさんの金融市場関係者から聞いた。その多くが、日銀の今の姿勢に懐疑的だった。

 第一に、今回の決定はサプライズ重視故に、金融機関や機関投資家の実務面の問題を軽視し過ぎているように思われる。急に言われても、制度上やシステム上の問題でマイナス金利への対応ができないという声は多数聞かれる。

 量的質的金融緩和策(QQE)の下で、日銀は膨大な国債や上場投資信託ETF)を購入して、市中にマネタリーベースを供給してきた。名目GDPに対するマネタリーベース残高の比率は、QQE開始前には20%台だったが、昨年12月には70%近くに達した。


米連邦準備制度理事会FRB)は20%台前半、ECBは10%台後半と、世界のどの中央銀行もやっていない猛烈な資金供給だ。


 それでも思うように日本経済が活性化しないため、今度はマイナス金利政策を導入することになった。しかし、そもそも日本経済の実力である潜在成長率を高める構造改革、および企業のイノベーションがなければ、金融政策によるカンフル剤をいくら投入しても効果は限定的と思われる。


富士通総研経済研究所の早川英男エグゼクティブ・フェロー(元日銀理事)が指摘しているが、安倍政権下の平均実質成長率(13年第1四半期〜14年第3四半期)は年率プラス0.9%だ。これは民主党政権期(09年第3四半期〜12年第4四半期)のプラス1.7%の約半分でしかない。


 当時よりインフレ率は上昇したが、デフレが終われば成長が加速するという傾向は観測できていない。労働年齢人口の減少やハイテク部門を中心とする日本企業の相対的な国際競争力低下を背景に、日本経済の実力はじわじわと弱まっている恐れがある。


 13年1月に安倍政権と日銀はインフレ率2%を早期に目指す共同声明を発表した。そこで政府は、「大胆な規制・制度改革」により「思い切った政策を総動員し、経済構造の改革を図る」と約束した。潜在成長率を高めるためのそうした政策が欠けている中、日銀は着地点を見つけられなくなっている。