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『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』ジリアン・テット 土方奈美訳 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

一九九九年のラスベガス。ソニーは絶頂期にあるように見えた。しかし、舞台上でCEOの出井伸之がお披露目した「ウォークマン」の次世代商品は、二つの部門がそれぞれ開発した二つの商品だった。それはソニーの後の凋落の予告するものだった。


世界の金融システムがメルトダウンし、デジタル版ウォークマンの覇権をめぐる戦いでソニーがアップルに完敗し、ニューヨーク市役所が効率的に市民サービスを提供できない背景には、共通の原因がある。


それは何か――。


謎かけのようなこの問いに、文化人類学者という特異な経歴を持つFT紙きってのジャーナリストが挑むのが本書である。

はじめに なぜ、私たちは自分たちが何も見えていないことに気がつかないのか?

第一章 人類学はサイロをあぶり出す


二〇世紀に始まった学問「人類学」は、アウトサイダーの視点をもってその社会の規範をあぶり出す学問である。その社会であたり前すぎて「見えなかった」規範が、アウトサイダーが中に入って暮らしてみることで見えてくる。

第三章UBSはなぜ危機を理解できなかったのか


UBSは、保守的な銀行と見られていた。ところが、〇八年のサブプライム危機で、ゴミ屑同然となったサププライムローンをごっそり抱えて破綻寸前に追い込まれる。危機を抱えていたことを察知できなかった原因は、当たり前と思っていた分類の誤りにあった。


第四章経済学者たちはなぜ間違えたのか?


ロンドンスクールオブエコノミクスを訪れた英国女王の素朴な問い「なぜ誰も危機を見抜けなかったのか」。経済学者や中央銀行、規制当局も、サイロにとらわれていた。CDOをしこたま仕入れるSIVといった新しい会社群は、サイロの分類にはなかったのだ。

第八章サイロを利用して儲ける


大手銀行では、債券、株券、等々細かな分野で分かれてトレーディングをしている。情報や知識は共有されない。JPモルガンで2012年に明るみに出た60億ドルの損失は、そうしたサイロが生み出したものだった。が、そのサイロを衝いて儲けた者もいたのだ。

終章 点と点をつなげる


これまでの事例をもとに、サイロに囚われないための方法論を考えてみよう。組織の境界を柔軟にしておくこと、報酬制度がそれを後押しするようになっていること等々、そして人類学の方法論を適用してみよう。アウトサイダーとして自らの組織を見つめなおすのだ。

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