「一物一価の法則」はもう古い?刻一刻と価格が動く世界の到来|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン
消費者の行動を集めたデータを用いて、アルゴリズムで需要の強弱やライバル企業の動向を判断しながら自社の販売価格を頻繁に改定していく手法をダイナミックプライシングという。以前から航空券等では使われていたが、最近の米国では前述のように適用範囲が拡大している。
米国のコア消費者物価指数(総合から食品とエネルギーを除いた指数)前年比は2.2%まで上昇してきているが、衣料や耐久消費財は価格下落(デフレ)が続いている。大和証券キャピタル・マーケッツ・アメリカの小売りアナリスト玉田かほり氏の最近のレポートによると、「モノ消費からエクスぺリエンス(体験)消費へのシフト」が米国で話題の的となっている。
モノよりも貴重な体験に米国の消費者は価値を見いだしている。そういった状況でダイナミックプライシングを導入すると、一部のブランド力があるものを除けば、モノの価格には下落圧力が加わりやすくなり、人気のあるサービスの価格は上昇するようだ。
こういった動きはこれから日本にも押し寄せてくるだろう。その場合、取り立ててブランド力がないモノの価格はこれまで以上に上がりにくくなると予想される。「エクスぺリエンス消費」に対応できる品目を、企業がどれだけ提供できるかが重要になってくると考えられる。