https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

東大「推薦入試」に込められた本当の意図とは? 思考力と教育をめぐる対談【第2回】|あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか|ダイヤモンド・オンライン

【斉藤淳(以下、斉藤)】体力勝負となるとみんな筋トレをしようとしますが、おそらくそれだけでは勝てませんよね。基礎的な代謝がよくないと持続的に戦えませんから。


つまり、筋トレだけでなく長時間の有酸素運動が必要ということです。その意味では、戦いということを考えていくなかでも、長期間持続しうる「歓び」や「愉しみ」がやはり必要だと思います。一つの現象について、全方位的に眺め、そもそも戦うのか否か、戦うならどこで戦うのかというメタなレベルで広い視野がないと、いざ戦っても勝てない。


【津田】やっぱり考えることが楽しくて日頃考えているから、いろいろな周辺部に広がっていくわけですね。


【斉藤】スティーブ・ジョブズ「Connecting the Dots(点をつなげる)」と言いましたが、やはりいろんなところのドット(点)を見ていないと。楽しんでいろんなものを見ていなければ、その人の体の中に残らないんですね。


【津田】点が点のまま頭に入ると、いつまでたってもコネクト(接続)しないというか、ライン(線)にはならないんですよね。


これが、ビジネスの分野で言う「マニュアルマニア」の状態です。何かを鵜呑みにして学んでいるだけで、どうしてそういうマニュアルになっているのかという文脈がない。もちろん、暗記的に情報を頭に叩き込むことは絶対必要だと思いますが、表面の部分だけ暗記してもしょうがない。「なんで?」という部分を考え合わせて暗記しないと。


【斉藤】一方で、「Why (なんで?)」という問いかけに答えるためには、「Because(なぜなら)」で答えないといけませんが、社会科学でも自然科学でも「これこそが原因だ」と言い切れるようなものにはなかなかたどり着けませんよね。


最初はすべて仮説ですし、仮説を検証しきったとしても、一定の不確実性が残るわけですから……。未知なる存在への耐性、いや「未踏の知」への憧れがないと、考えることを愉しむことはできないです。

【斉藤】倉石先生がおっしゃったことで印象に残っているのが、「昔は『試験は必要悪。しょせん試験だ』という態度が灘高生にはけっこうあった」というお話です。でも最近は灘高も含めて試験に必死になっているんじゃないか、と倉石先生は懸念されていました。

【斉藤】ですよね。我々も含めて塾のせいなんですよ。僕は塾を経営していながら、いつも「塾なんてなくなればいい」と思っているんです。


今はおかしなことが起こっていて、塾の影響力に学校の授業が引きずられ、学校が塾のようになっている。逆に、我々のように塾でありながら、むしろ本来なら学校で教えているはずの基礎を教えていたりするわけです。
最近だと秘密結社みたいないわゆる「エリート塾」を持て囃す本が書店に並んでいたりしますが、実際やっていることは単なる過去問演習の積み上げだったりします。
東大の先生方から聞きましたが、そういった塾で大量に養成された「マニュアルマニア」みたいな新入生が入ってくるのはいい迷惑だとのことです。

【斉藤】日本の初等教育にはいいところもたくさんあって、たとえば体育館とかプールが義務教育の学校でこれだけ充実している国はあまりない。音楽室に基礎的な楽器がひと通り備わっているのも、他の先進国を見てもあまりない。誰でもある程度音符が読める国とか、みんな掃除ができる国は日本くらいかもしれません。

#勉強法