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今、世界史から何を学ぶか?歴史は「勝利の法則集」である|戦略は歴史から学べ|ダイヤモンド・オンライン

 閉塞感の強い時代を迎えています。ビジネスでも国家間の政治でも、安易な正解を見出せない時期にきているのでしょう。現代の経営戦略は多くの研究から導き出されており、有効な知恵を含みます。しかし資本主義経済の発展に伴って生み出された学問であるがゆえに、遡ることができるのはおよそ100年程度です。


 では、もっと長い時間の中で問題解決に寄与してきた思考法はあるのでしょうか。それは戦争戦略です。もっと端的にいえば、戦史に残されている思考法です。これは3000年程度は遡ることが可能です。それだけの長期間にわたり、戦争戦略は闘争の現場で必要とされ、磨き続けられてきたのです。これほど長期間に積み上げられた問題解決の思考法は、人類には他にないでしょう。


 戦史には、数え切れない人たちの決断の成否が克明に描かれています。世界史は勝者の歴史ですが、それは命がけで戦い、勝利をつかんだ者たちの駆け引きの歴史、つまり戦略の歴史でもあるのです。戦史に名を刻んだ英雄たちは、どのように考え、行動したか。難しい問題や壁にぶつかったとき、どのように判断し、乗り越えたのか。歴史から戦略を学ぶことは、「勝利の法則」を知ることに他なりません。


 歴史から導き出せる「勝利の法則」には、時代を超えた強烈な普遍性があります。ミもフタもないことをいえば、戦史は人間の血と涙、悲喜で描かれた因果関係であり、あらゆる時代の人間や組織が生死をかけて実証した法則集なのです。

 歴史から戦略を学ぼうとしたのは、私たちだけではありません。東方遠征で世界帝国をつくり上げたアレクサンダー大王は、歴史叙事詩イリアス』を戦場でも枕元においていたほどです。カルタゴの名将ハンニバルアレクサンダー大王の戦闘を詳細に研究して、巨大なローマ帝国を震撼させる勝利を収めました。


古代ローマが世界帝国となる基礎を築いたユリウス・カエサルもまた過去の戦史から学び、どんな敵にも勝つほどの突出した戦果をあげました。フランス革命の申し子といわれ、一人の青年将校の身分からフランス皇帝となったナポレオン・ボナパルトも、歴史で活躍した名将たちから戦略を学ぶことでヨーロッパに大転換をもたらす勝利を重ねました。


「戦術は幾何学のように、あるいは工学のさまざまな進歩や砲術のように全集の中で学ぶことができるが、戦争の大原則に関する知識は、軍事史や多くの偉大な名将たちの戦いを勉強することや実際の経験を通してのみ、得ることができる」(ウィリアム・ダガン『ナポレオンの直観』よりナポレオンの言葉)

 多くの戦史で特筆すべき戦果を挙げた戦略家、大逆転を成し遂げた軍師が教えてくれるのは、効果的に常識や慣習の境界線を超える方法です。


 人間は誰しも、今までの方法、過去の成功体験に囚われます。それが通用した時間が長いほど、私たちを依存的にするからです。ところがある日を境にそれが通用しなくなると、誰にも混乱が訪れます。パニックに陥るのです。自らの体験から探しても、打開策が見つからないからです。


 体験から私たちが学ぶことは数多くあります。しかし、体験からだけでは学べないこともまた多いのです。最も危険なのは、体験の枠組みの外から問題解決法を学ぶべきときに、あくまで自己の体験にこだわってしまう場合です。


 このような道を選ぶと、たいていの場合、自己の人生が終わるまで問題の突破口を見つけられず、戦史で言えば「敗者」のままで一生を終えることになります。なぜなら、打開策は自己の体験の中には存在しなかったからです。

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