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保護者以外に引き渡し死亡 学校の過失認める判決 | NHKニュース

宮城県東松島市の小学生と住民の合わせて3人は、5年前の震災で避難所に指定されていた野蒜小学校の体育館に避難したあと、津波に巻き込まれて死亡し、遺族が学校の避難誘導などに問題があったとして、東松島市に賠償を求めていました。
24日の判決で、仙台地方裁判所の大嶋洋志裁判長は、このうち児童について「体育館に避難した児童が家に帰るためには、市が予想した津波の浸水域を通らなければならず、津波に巻き込まれることは予測できた」と指摘しました。
そのうえで「安全が確認できないかぎり、事前に登録されていない人に児童を引き渡してはならず、過失が認められる」として学校側の過失を認め、市に対し2600万円余りの賠償を命じました。
一方、体育館に避難して死亡した住民2人については、「市が予想した津波の浸水域には学校が含まれておらず、津波が到達するとは予想できなかった」として、訴えを退けました。
弁護士などによりますと、岩手、宮城、福島の3県の津波の被害で子どもの引き渡しの過失を認め、賠償を命じた判決は初めてだということです。

判決では校長などは津波の情報収集が明らかに不十分だったと指摘しています。学校側は裁判で、地震後、停電でインターネットやテレビなどが使えず、緊迫した状況のなかでさまざまな対応に追われ、津波の情報収集は困難だったと主張しました。
これに対し判決は、教職員らの車に搭載されたテレビを見ることができるカーナビや、携帯電話のワンセグ機能などを利用して津波の情報を入手することは可能で、さまざまな対応に追われ情報を入手することができなかったとは言えないと指摘しました。そして、女の子を同級生の父親に引き渡した午後3時半ごろまでには、テレビなどで宮城県に10メートル以上の大津波警報が発表されたことなどが報道されていて、少なくとも津波の予想浸水域に津波が到達することは予測できたとしています。
そのうえで、女の子が自宅に帰るためには浸水域を通らなければならず、体育館から帰宅させると帰宅途中や帰宅後に津波に巻き込まれ、危険が及ぶことを具体的に予測することができたと指摘しました。

判決によりますと、当時9歳で小学3年生の女の子は、地震発生後、そろばん教室にいた児童たちと一緒に、通っていた野蒜小学校の体育館に避難しました。
学校は児童の家族たちから引き渡しを求められたため、校長は教諭らに引き渡す人の名前と児童との関係が確認できれば引き渡してもいいという指示を出し、引き渡しを始めました。この際、災害時の児童の引き取り責任者が登録された名簿は使われなかったということです。
女の子は、送り届けることを申し出た家の近所に住む同級生の父親に引き渡されました。
判決によりますと、このとき、担任の教諭は女の子の自宅周辺に津波が到達することは考えなかったということです。
引き渡された時刻は、野蒜小学校に津波が到達したとみられる20分余り前の午後3時半ごろでした。女の子は自宅まで送り届けられて、家にいた、いとこに引き渡されました。
その10分ほどあとに、女の子は津波に巻き込まれ亡くなりました。
女の子の家は学校よりも海側にあり、家は津波の浸水が予測され避難が必要な地域に囲まれる場所にありました。

野蒜小学校では災害時に児童を引き取りに来る責任者を事前に登録させていました。これは災害時の児童の安全確保を第一の目的とし、安全確保に責任を持てる人に児童を確実に引き渡すための制度でした。このため判決は、学校は児童の安全を確認できないかぎり、登録された人以外には引き渡してはならない義務を負っていたと指摘しています。
しかし、校長は女の子を帰宅させると津波に巻き込まれ危険が及ぶことを予測できたにもかかわらず、津波に巻き込まれるおそれを全く考慮しなかったとしています。
また登録された人が書かれた名簿を使わず、引き渡す人の名前と児童との関係が確認できれば引き渡してもいいという趣旨の指示を担任らに出し、学校が女の子を引き渡したと認められるとしています。
こうしたことから判決は、校長は児童の安全を確認できないかぎり登録した人以外に引き渡してはならないという注意義務に違反した過失が認められると指摘しました。

津波で犠牲になった人の遺族が自治体や企業などに賠償を求める裁判は宮城県岩手県で相次いで起こされていますが、弁護士などによりますと自治体に賠償を命じたのは今回が初めてだということです。
宮城県岩手県津波の犠牲者の遺族が起こした裁判で1審で賠償を命じた判決はこれまでに2件あり、いずれも民間の学校などに対してでした。宮城県石巻市にある日和幼稚園の園児が送迎バスに乗っていて津波の犠牲になったことを巡り、遺族が起こした裁判では、幼稚園を経営する学校法人と当時の園長に賠償を命じる判決が言い渡されました。この裁判は、2審で和解が成立しました。
また、宮城県山元町の自動車学校の教習生などの遺族が賠償を求めた裁判は、自動車学校に賠償を命じました。2審で裁判が続いていますが先月、裁判所は和解を勧告しました。
弁護士などによりますと自治体に賠償を命じたのは今回、野蒜小学校を管理する東松島市に賠償を命じた判決が初めてだということです。
自治体に賠償を求め、1審で裁判が続いているのは3件あります。宮城県では、石巻市の大川小学校の児童の遺族が市と県を訴えている裁判。名取市閖上地区で犠牲になった家族の遺族が市を訴えている裁判。岩手県では、釜石市鵜住居防災センターで、死亡した人の遺族が、市を訴えた裁判が続いています。

5年前の東日本大震災では、岩手、宮城、福島の3県で、地震の発生直後に学校に迎えに来た保護者などに引き渡された子どもが、津波に巻き込まれて犠牲になるケースが相次ぎました。
宮城県によりますと、引き渡されたあとの帰宅途中に犠牲になった児童・生徒の数は、いずれも公立の、小学校で49人、中学校で1人の合わせて50人に上るということです。このうち、石巻市によりますと、市内では児童35人が保護者などに引き渡されたあと犠牲になりました。中には引き渡されて帰宅する途中に車が渋滞に巻き込まれ、そこを津波に襲われた子どももいるということです。
また、岩手県によりますと、学校外で津波の犠牲になった児童生徒が最も多かった自治体は陸前高田市で、19人に上っています。このうち、市立高田小学校では、学校から引き渡したあと亡くなった児童が7人いるということです。
一方、福島県では南相馬市の大甕小学校で、保護者に引き渡された児童4人が犠牲になりました。小学校によりますと、学校側は保護者に対し、小学校は高台にあり避難所に指定されているためとどまるよう伝えましたが、保護者の判断で帰宅したり別の場所に避難したりしたということです。

東日本大震災で学校から引き渡された子どもが津波の犠牲になったケースが相次いだことを受けて、震災後、全国各地の学校で対応を見直す動きが出ています。
南海トラフの巨大地震で、最大13メートルの津波が想定されている静岡県掛川市の大渕小学校では、震災を教訓に避難のマニュアルを見直し、津波警報が解除されるなど安全が確認されるまでは子どもを保護者に引き渡さないことを決めました。震災後、毎年行っている避難訓練では、大津波警報が発表されたあと、子どもたちは、一斉に校舎の3階に避難。その後、警報が解除され、安全が確認されたという想定で、学校から連絡を受け集まった保護者に教職員が子どもたちを引き渡していました。
また、宮城県南三陸町志津川小学校で去年行われた訓練では、津波警報が解除され周辺の道路の安全が確保されたあと、学校から保護者に引き取りに来るよう要請するメールが送られました。そして、保護者に事前に記入してもらったカードに基づき、名前や連絡先などを確認したあと子どもを引き渡していました。
引き渡す際の方法を見直した学校もあります。岩手県宮古市宮古小学校では、震災の時、用意していた「引き渡しカード」がうまく使えなかったということです。当時のカードは、どの子を誰に託したか教職員が記入して記録するためのものでしたが、混乱の中で書いている余裕はありませんでした。このため、カードではなく、新たに児童全員の名前と、あらかじめ家族と決めた避難先をまとめたファイルをクラスごとに用意し、確認する方法に変えたということです。
一方、広島県福山市の幼稚園では、「引き取り票」というカードをあらかじめ保護者に配っておき、これと交換する形で子どもたちを引き渡すことにしました。「引き取り票」は、1家族につき5枚ずつ配布し、父母だけでなく緊急時に迎えに来ることができる祖父母などの親族や関係者にも渡してもらうようにしています。こうすることで、災害時に、職員が、子どもの名前や誰に引き渡したかを書き間違えたり、親や親族などの関係者以外の人に誤って引き渡したりするなどのミスを防ぎ、混乱のなかでも確実に子どもを引き渡すことができるということです。訓練に参加した母親は「『引き取り票』は、スムーズに子どもの受け渡しができるのでよかったです」と話していました。

裁判所|仙台地方裁判所 担当裁判官一覧
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