10年後、約半分の仕事が消えても生き残れる人はどんな能力を持っているか|40代からの人生の折り返し方 野田稔|ダイヤモンド・オンライン
さらに昨年12月に発表された日本での調査データもある。これは、野村総合研究所と、前出オズボーン、フレイ両氏との共同研究で明らかになったもので、労働政策研究・研修機構が「職務構造に関する研究」で報告している国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算した。すると、同じく10〜20年後には、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との研究結果が得られたのだ。
およそ半数の人の仕事は、技術的にAI(人工知能)やロボットに代替可能ということである。
一連の調査の中で消滅する仕事として例に出される仕事の一つに「小売店販売員」がある。確かにすでに一部の店舗ではセルフのレジが存在するし、近い将来は買いたいものを自分のカバンに入れそのままレジを素通りするだけで、一つひとつの商品についた電子タグが遠隔で自動読み取りされ、そのまま本人のIDカードも同時に読み取られ、あらかじめ登録されたクレジット口座に課金されるというのだ。
こうなると万引きもほぼなくなるだろう。まさに販売員は必要ないということになるのだが、実際に店舗でお客様の要望を聞きながら、商品提案をするようなコンサルティング販売は残ると言われている。単純労働は不要になるが、人間関係を構築し、対面で相対することにより付加価値をつける仕事はむしろ重要性が増す。これが、社会的知性を発揮して価値を生む仕事の例だ。
創造性、あるいは創造的思考と言っても、何も無から有を産むような大発明を思い浮かべる必要はない。有と有を結合させて、「新たな有」を産む新結合。これが大切だ。
もちろん、これも簡単なことではない。何と言っても、そうした新結合を指して、イノベーションと呼ぶのだから。
では、創造的思考とはどのようなものかと言うと、多くの人は、「斬新な思考」「突飛な思考」「変わった思考」と思うようだが、ここから考え方を変える必要がある。
優秀な学生やビジネスパーソンは、課題を解決する高い能力を持った人は少なくないのだが、そうした優秀な人の多くも、課題そのものを発見する能力に長けていない。