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安全保障関連法が施行 | NHKニュース

去年9月に成立し、戦後日本の安全保障政策の大きな転換となる、安全保障関連法は、29日に施行されました。
この法律によって、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」の際に、日本が直接攻撃をされていない場合でも、集団的自衛権を行使し、武力を行使できるようになります。
また、国際貢献のための外国軍隊への後方支援は、そのつど法律を作らなくても活動が可能になるほか、国連のPKO活動では、他国の部隊などが武装集団から危害を加えられそうな場合に自衛隊が武器を使って救援する「駆け付け警護」などが可能になります。
さらに、共同訓練などの際に、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態が起きた場合は、アメリカの艦船などを武器を使って防護することや、活動する国の同意があるといった要件の下、海外で邦人を救出する活動も可能になります。
政府は、「部隊行動基準」という、自衛隊が行動できる地理的範囲や武器の使用方法を任務ごとに定めた規則などを、今後3か月程度かけて策定することにしています。
そして、それらを基に、ことしの夏以降、訓練を重ねるなどして、隊員の安全確保などに向けた周到な準備を行うことにしています。
政府は、南スーダンで国連のPKO活動に参加している自衛隊の部隊に、「駆け付け警護」や、外国の部隊と共同で宿営地を防護する任務を付与することを検討していますが、実際にこうした任務を付与する時期などについては慎重に判断することにしていて、当面は、ことしの11月に交代で派遣される部隊に対して付与するかどうかが焦点になります。

集団的自衛権の行使>
「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を「存立危機事態」とし、その際には、日本が直接攻撃されていない場合でも、集団的自衛権を行使し、武力を行使することが可能になります。


<外国軍隊への後方支援>
日本の平和と安全に関わる事態の際の、外国軍隊への後方支援については、これまでの周辺事態法を改正して重要影響事態法とし、アメリカ軍のみとしていた支援の対象をほかの外国軍隊にも認めるほか、新たに弾薬の提供なども可能になります。
また、国際貢献のための後方支援については、新法を制定したため、そのつど特別措置法を作らなくても、必要に応じて実施が可能になりました。ただ、派遣の際には、例外なく事前に国会承認を得ることを義務づけています。


<国際平和協力活動>
国連のPKO活動については、活動に参加する国連職員や他国の部隊が武装集団から危害を加えられそうな場合に、自衛隊が武器を使って救援する「駆け付け警護」が可能になります。
また、自衛隊の宿営地を外国の部隊と共同で武器を使って防護することや、住民の安全を確保するための巡回や警護といった活動も、新たに可能になります。


<グレーゾーン事態>
共同訓練などの際に、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態が起きた場合は、アメリカをはじめとする外国軍隊の艦船などを武器を使って防護できるようになります。


邦人救出
海外での邦人の救出については、活動する国の同意があり、その国から協力が得られる場合などに、自衛隊が武器を使用して活動に当たれるようになります。

安全保障関連法の施行で、変わる可能性があるのが、アフリカの南スーダンに派遣されている陸上自衛隊の部隊の活動です。
陸上自衛隊南スーダンで行われている国連のPKO活動におよそ350人を派遣し、首都ジュバを拠点に道路整備などの活動を行ってきました。
新しい法律の下で、「駆け付け警護」の任務が新たに付与されれば、自衛隊の活動地点から離れた場所で国連職員や外国の部隊などが襲われた場合でも、武器を使って助け出すことができるようになります。
南スーダンでは、自衛隊の部隊が拠点を置く首都ジュバの治安は比較的安定しているものの、ほかの地域では政府軍と反政府勢力の間で武力衝突が繰り返されています。先月には、北東部にある国連の避難民の施設が武装集団に襲われ、援助団体のメンバーも含め少なくとも25人が殺害される事件が起きています。
現地の国連関係者は、自衛隊の部隊が、国連などの支援活動の安全確保のため、今後どれだけの任務を担うことになるのか、注目しています。

安全保障関連法が施行されたことについて、中国外務省の洪磊報道官は29日の記者会見で、「アジアの隣国や国際社会は、歴史が原因で、日本の軍事、安全保障に関わる動向をとても注視している」と述べました。
そのうえで、「われわれは日本側がしっかりと歴史の教訓をくみ取り、平和発展の道を歩み、軍事、安全保障政策において慎重に事を進めるとともに、地域の平和と安定のために建設的な努力をするよう望む」と述べて、日本の動向に警戒感を示しました。


南シナ海に関する中国政府の研究機関「中国南シナ海研究院」の呉士存院長がNHKのインタビューに答え、「この法律は、戦後70年間の日本の防衛政策、そして平和憲法を大きく突き破った」という見方を示しました。
そのうえで、「アメリカは日本が南シナ海における航行活動に参加することを望んでおり、それに対する日本の態度にも実際に変化が現れている。ことし、日本が南シナ海で新たな域外勢力になるかもしれない」と述べて、中国が実効支配を強める南シナ海で、自衛隊アメリカ軍との連携を強化し、活動を拡大させるのではないかと警戒感をあらわにしました。


韓国外務省のチョ・ジュンヒョク(趙俊赫)報道官は29日の記者会見で、「韓国政府は日本の安全保障政策が平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安定に寄与する方向で、透明に行われるべきだという立場を堅持しており、今後、その行方を注視していく」と述べ、韓国国内で朝鮮半島有事の際に、自衛隊が半島やその近海で作戦を遂行するのではないかとの懸念が出ていることを念頭に、透明性の確保を改めて求めました。