この問題は、FBIが去年12月にカリフォルニア州で起きたテロ事件の捜査のため、容疑者が使っていたスマートフォンのロック機能を解除するようアップルに求め、裁判所が協力するよう命じたのに対して、アップルは個人情報の保護を理由に拒否し、命令の取り消しを申し立てていたものです。
FBIは28日、カリフォルニア州の連邦地裁に、「スマートフォン内の情報の入手に成功したため、アップルの協力が必要なくなった」として命令を取り下げるよう申し出ました。これを受け入れて連邦地裁は、アップルに対する命令を取り下げました。
FBIは情報を入手した具体的な方法を明らかにしていませんが、今月21日、「外部からロックを解除できる可能性を示された」としていました。
これでFBIとアップルの法廷での争いは、とりあえずの決着を見ましたが、今回の対立で焦点となった、捜査のための情報収集と個人情報の保護を巡る問題は本質的な解決には至っておらず、今後の議論の行方が注目されます。
FBIがスマートフォンのロック機能を解除するよう求めていた協力要請を取り下げたことについて、アップルはコメントを出しました。
この中で、「FBIの求めに応じることは間違いで、危険な前例になるとして初めから一貫して拒否してきた。個人情報を狙う脅威が増すなか、われわれは今後も製品の安全性を高め続けていく」としています。