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手書きによる記憶の定着は、古代の人類がパピルスにアシのペンで文字を書き始めた行為がきっかけとなって秘められた力を発揮するようになりました。書くという行為は、われわれが耳にしたり目にしたものを確実な記録として残し、学習と後の再収集に大きな力を発揮するからです。事実、何かを書き残すという行為は脳に興奮を与えることが、脳イメージングを使った研究からも明らかになっています。ハーバード大学認知心理学者であるマイケル・フリードマン氏は「メモをとるという行為は、活動的なプロセスです。メモをとるとき、私たちは聞いたものを心の中に変換する処理を行っています」と、メモという行為に秘められた脳の処理を語ります。

より多くの情報を残せるPCのほうが短期的にはメリットになることが分かっています。ワシントン大学が2012年に行った研究からは、講義の直後に行われたテストでは、キーボードでメモをとっていた学生のほうが少しだけよい成績を取る傾向を示すことが判明しています。


しかし、その効果は短期間で失われてしまうことも判明しています。同じ学生を対象に、24時間後に行われたテストの結果からは、キーボードでメモを残した学生の多くがその内容を忘れてしまうことが明らかになっています。その一方、手書きのメモをとっていた学生は、記憶が長く残り、講義のキーポイントを確実に覚えている傾向にあることがわかっています。このことから専門家は、手書きでメモを残す行為には記憶を意識のより深い部分へ定着させる効果があると語っています。


また、この違いは両者のメモの取り方の違いも表れているとのこと。キーボードを使ってメモを残す学生の場合は、講師が語った内容をそのまま文字に残す傾向があるのに対し、手書きのメモをとる学生は一定のまとめを行ったうえで文字に残す傾向があることがわかっているとのこと。自分の頭の中で1度まとめる段階を踏むことで、記憶を定着させやすくなる効果があるようです。

とはいえ、手書きメモが万能というわけでもないというのが要注意のポイントかもしれません。キエウラ博士は学生を対象に、講義の中で語った内容をどれだけ網羅できているかを測る実験を行いました。すると、手書きメモで記録できていた内容は全体の3分の1程度にとどまっていたうえに、話すスピードに追いつくために重要な語句を書き落としていたり、文脈を記録しきれず、キーとなるポイントを逃してしまっていたことが明らかになっています。

このように、メモをとるという行為自体が実は高い集中力を必要とし、重要なことから意識を削いでしまうという弊害があることも事実として判明しているというわけです。キエウラ博士が学生だったころ、メモをとることで講義の内容に集中できないことを問題視した教授が、講義中は「メモ一切禁止」というルールを掲げたことがあったとのこと。そのかわりに、その講義の内容をまとめたレジュメが配布されたとのことなのですが、メモの効果と弊害を相殺するためには、このような対策をとるというのも効果的と言えるのかもしれません。

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