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どんな時代でも利益を出し続ける経営の仕組み|アイリスオーヤマ社長 大山健太郎|ダイヤモンド・オンライン

 昨日、魚が釣れた場所で今日も釣れるとは限らない。アイナメが釣れないならばカレイを釣ればよい。漁場も魚種も、満遍なく魚のいるところに船を持っていける船頭であれば、大間のマグロ釣り師のような大金を手にできなくてもコツコツと生きていける。


 一見、非効率に思えても、そんな漁場にはマグロ漁に大金をつぎ込むような漁師は入ってこない。産業で言えば、単品・大量生産の規模を追う会社とは真逆に、多品種・少量で利益を確保できる仕組みがあれば不況期にも生き延びていける。


アイリスオーヤマは、企業理念の第1条で「会社の目的は永遠に存続すること。いかなる時代環境に於いても利益の出せる仕組みを確立すること」と宣言している。

 商品は、基本的には「利益率をきっちりとキープすることが大事だ」としている。単品の損益管理を徹底し、利益率が落ちてくればコストダウンの方法を編み出したりバージョンアップをする。「年間1000点の開発商品」と、ちょっとPR的に発信するが、実はバージョンアップ商品も含まれている。


 ただ、たとえ購入者が1000人しかいなくなっても利益が確保できるならば売り続ける。単品・大量生産にはなじまない非効率な世界だ。だが、こんな非効率な世界には誰も入ってこない。そこが狙いでもある。


 グループ売上高が3000億円の程度のアイリスグループが、理念の実現と継続をなすために、大手企業とはまったく違う経営が必要だった。

「いかなる時代環境に於いても利益を出せる会社にしたい」。そう決意したのは、1973年秋に起きた第4次中東戦争がきっかけだった。戦争が勃発してプラスチックの原料である原油の価格が高騰し、商品は作りさえすれば売れる。75年の売上高は2年前の2倍近い14億7000万円になった。


 ところがここがピークで、反動がやってきた。値上がりが一服した途端に商品がだぶつき始め、壮絶な値崩れも始まった。売れば売るほど赤字が出る。売上高は毎年2割、3割と減り、良好な関係だと思っていた問屋も手のひらを返すように値切りを強要し、取引の中止も頻発した。

「いったい何が間違っていたのか」と内省を繰り返した。そして、「従業員のリストラだけは二度とやらない」と決意した。

 むしろ、「好況のときに儲けるよりも、不況のときでも利益を出し続けられることを大事にする会社」こそが私の目指す経営ではないのか。私はやっと結論と決意にたどり着いた。


 それ以後、現実の課題に、収益をきっちりと確保していくことを軸に対応し、それによって「いかなる時代環境に於いても利益を出せる会社」を創ろうと試みた。その取り組みが、「ユーザーインによる商品開発」の拡充であり、「メーカーベンダー」「デパートメントファクトリー」「セールス・エイド・スタッフ(SAS)」などだった。

アイリスオーヤマの「メーカーベンダー」とは、「製造業兼問屋」である。

 現在、メーカーベンダーは生産工場と問屋機能を持つ物流センターを軸に基盤ができている。

 メーカーベンダーへの取り組みメリットは2つあった。1つは、自動倉庫のシステムも物流システムもすべて自前で開発、それは商品開発や生産効率の向上にも展開できる。


 もう1つが、小売りの現場と直結することで現場の生情報をいち早くつかめ、商品開発のスピードが上がるだけでなく、他のメーカーと比べても商品開発の目線が生活者に近づいたことだ。

アイリスオーヤマは、メーカーベンダーへの変身を図る際に、ホームセンターという新しい業態と組み、「業態メーカー」としての道を選んだ。メーカーベンダーは、自社製品が多いほど多様な販促提案ができる。一方で、生産アイテムはどんどん増えていった。各種のプラスチック製品、パイプなどの鉄製品、ペット用品、園芸用品、そしてLED電球や各種の家電製品。


 これらの製品をいかに市場の動きに柔軟に対応しながら生産していくか。


 工場ではまず、従業員を異なる生産ラインを随時担える多能工として育てている。さらに工場内には常に3割の空きスペースを確保し、ヒット商品が出ればすかさずラインを増設できるようにしてある。

 ただ、中国は共産党政権下の配給型の社会であり、生活者のニーズに応え、より良い供給者であろうとするサービス概念はなかった。「顧客第一」の考え方など、日本品質のサービス倫理を教育するのに5年かかった。


 しかし、「厄介な国ですな」と嘆くだけの話ではない。目標を明確にして公正に評価する仕組みを揃えれば誰もが前向きに挑むようになるのである。単に「右から左に物を動かせ」と命令すれば、それしかできない。しかし、「何のためにこれをやっているのか。そのためにこうしているのだ」と教えると、自ら考え、工夫をするようになる。


 現地では「品質技能検定(1〜5級)」の合格者のみが品質検査に従事するようにしている。これによって日本品質を保証しているのだが、年を経るほどに中国人の方が圧倒的に伸びるし、かつ優秀だ。


 言葉を換えれば、彼らの必死さに応えられ、フィットする仕組みがあればグンと伸びるのである。

 狙いはズバリ的中した。スタート当初こそ商品知識や接客術に乏しく、誰にも相談できずに辞める人もいた。しかし、社員の巡回フォロー体制を整えると、SASを導入している店では売上高が目に見えて増えたのだ。


SASたちの働き方はそれぞれだ。「週に3日だけ」「自分なりの提案をしてみたい」等々。しかも地元採用者なので異動のある店長などよりも地元やお客さまの事情に詳しく、相談内容も深い。


SASが本社に送ってくる日報は年間8万件にもなる。売り場の声は、私たちには“宝の山”だ。データだけでは見えない潜在ニーズや改善要望が分かり商品開発につながっている。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160410#1460284866
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160312#1457779408