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損益計算書(PL)からビジネスの「儲けの構造」をつかむ|ビジネスにいちばん使える会計の話|ダイヤモンド・オンライン

商品を売って売上を上げ、利益が出て、現金が増え続けていけば、会社が倒産することはありません。つまり、事業が続けられて成長できる可能性があるのは、次の二つの式が同時に成り立っている場合ということになります。

ここでは(1)の話をします。


 この算式「売上高−売上原価−費用=利益」は、一つの事業部で同じ種類の商品が一定期間に売れたときの算式として考えます。これがその事業の基本的な「損益構造」を示しています。別の言い方をすると「儲けの構造」です。

 一つの商品だけを売り上げているなら簡単ですが、ふつうはいくつかの品種をまとめたものが損益計算書(PL)に反映されるので、損益構造を品種ごとに抜きだすのは大変かもしれません。


 たとえば、あるメーカーが3種類の製品を製造販売していて、それぞれの製品に対応する工場と営業所が三つずつと、それらを統括する本社があったとします。


 この会社のPLの各科目は、次のような構成になります。


(1)売上高…三つの営業所で売り上げた3品種の売上高の合計額。
(2)売上原価…三つの工場で製造した3品種の製造原価(原材料費、労務費、製造経費)の合計額のうち売り上げた分。
(3)販管費…本社のすべての部署と三つの営業所で販売・管理に使った経費の合計額。


 この全体のPLを見ただけでは、3品種のどの製品が儲かっているのかがわかりません。そこで、品種別に分けたPLを作る必要が出てきます。そのためには「販管費」の中味を三つの品種に分けなくてはいけません。


 三つの営業所の経費は品種ごとに分かれているので「直接費」としてそのまま対応しますが、本社の経費は3品種のどれを作ったり販売するために使ったかを特定できない「共通費」と考えられるので、何らかの方法で品種別に割り振る必要があります。

 この共通費を割り振るときによく使われるのが、売上高の比率による分け方です。

事業の損益構造を理解するために、1年間(月次決算なら1ヵ月間)の各項目の実績値を出してから、売上高を100としたときの構成比を計算してみましょう。商品ごと拠点ごとの損益構造をつかめるので、今後どのような売り方で利益を出していくかを考えるスタート台になります。