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日本が核武装したら「世界の孤児」になる理由|ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦|ダイヤモンド・オンライン

 日本には、「共和党は、日本の核武装を支持する」という楽観論がある。しかし、ジアラ氏の言葉を読むと、共和党がそれを許すかは極めて疑わしいことが分かる。「米中が共同で日本の台頭を阻止する」という70年代の方針は、ごく最近になっても不変だった。特に民主党系の学者や言論人は、新世紀に入っても相変わらず日本の自主防衛、核武装に反対している。


<彼らの多くは、「台湾が中国に併合されるのはやむをえない。米中両国は東アジア地域において、日本にだけは核を持たせず、日本が自主防衛できないように抑えつけておき、米中両国の利益になるように日本を共同支配すればよい」と考えている。>(113p)


 このように米国と中国は、70年代から現在まで、「日本の核武装に反対すること」で一体化している。もちろんトランプが大統領になり、全世界に向けて、「私は日本の核武装を絶対的に支持する!国連安保理で制裁決議案が出ても、拒否権を使って阻止する!」と公式に宣言すれば情勢は変わる。しかし、歴史的経緯と現状を見ると、そんなことは起こりそうにない。第一、トランプは決して「親日」ではない。


「問題の本質」を整理してみよう。日本が「核武装」を目指すとすれば、それは、(北朝鮮問題もあるが)主に中国に対抗するためである。しかし、中国に対抗するために「核武装」すると、結果として中国ばかりでなく、米国も敵に回してしまう。


 そればかりでなく、「核兵器寡占体制」を維持したい英国、フランス、ロシアも敵にしてしまう。米中英仏ロは、「公認」の核兵器保有国であると同時に、国連安保理で「拒否権」を持つ「常任理事国」でもある。つまり彼らは、その気になれば国連安保理経由で「強制力を伴った対日本制裁」を課すことができる。


 一方、日本は核武装を決意すれば、NPTを脱退することになる。190ヵ国が参加・支持するNPTからの脱退は、日本を「世界の孤児」にしてしまうことだろう。実際、NPT元参加国で、後に脱退して核武装した北朝鮮は、過酷な制裁を受ける「世界の孤児」になっている。つまり、日本が核武装に突き進めば、世界を敵に回して孤立し、過酷な経済制裁を課される可能性が高い。最悪、戦前戦中の「ABCD包囲網」のように、「エネルギー封鎖」をされるかもしれない。


 こう書くと、必ず「GDP世界3位の大国に経済制裁などできない。自分たちが損をするのだから」と反論される。しかし、「自分たちが損をしても」制裁が行われることはある。たとえば、日本と欧米は今、経済的損失を出しながら「対ロシア制裁」を続けている。ロシアとの結びつきが薄い日本と米国はあまり損失を感じないが、ロシア経済と深く結びついている欧州では大きな影響が出ている。


 さらに、「制裁する側」の利点は、「自分たちが困る製品は、制裁リストから外せる」ということだ。たとえば欧州は、ロシアに制裁する一方で、同国からの原油天然ガス輸入は続けている。もし「この日本製品が入ってこなければ困る」というのなら、その製品を制裁リストから外すことができるのだ。

実をいうと、孤立せずに「事実上の核保有」を実現する方法がある。「ニュークリアシェアリング」だ。これは、核兵器を持たないベルギー、ドイツ、イタリア、オランダが、米国と結んでいる条約である。


ニュークリアシェアリングによって上記の4ヵ国は有事の際、米国の核を使って反撃できるのだ。そのため、これらの国々は日常的に米国の核を使って訓練している。

 米国が日本にニュークリアシェアリングを許すか、現段階では分からない。しかし、日本単独の「核武装」よりはずっと、抵抗が少ないことは確かだろう。


 ただし、問題となるのは中国、ロシア、北朝鮮の反応だ。彼らは反発し、相応の対抗措置を取るだろう。中ロはますます反米・反日化し、一体化する。ロシアは、北方4島を軍事要塞化させ、北方領土返還は事実上「不可能」になる可能性がある。こういう副作用を考えると、ニュークリアシェアリングですら、現時点で必要か疑問だ。