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非伝統的な金融政策の評価と出口|久保田博幸

 それでは非伝統的な金融政策の出口政策はどうなるのであろうか。2006年の日銀の量的緩和策からの出口政策は簡単であった。日銀の操作圏内にある短期金融市場だけの量的緩和であったため、元に戻すのは容易であった。ただし、国債の買い入れは減額しなかったというより、できなかった。


 FRBについてはかなり慎重に出口政策がとられた。日銀ができなかった国債買入の減額を実施して、テーパリングを終了させた。その後利上げまでこぎ着けたが、膨れあがったバランスシートの縮小はこれからの課題となる。


 ECBについてもマイナス金利の部分の正常化はそれほど問題はないとみられる。国債の買い入れの減額についても米国と同様に市場に動揺をもたらすことは考えづらいか。もちろん正常化に向けた前提条件がある程度整っていればとの条件下ではあるが。


 問題は日銀となろう。世界で二番目の大きさを誇る我が国の国債市場であるが、異次元緩和により日銀の保有割合が大きく増加し、その分影響力もさらに大きくなった反面、市場の流動性が後退した。1998年の運用部ショックのトラウマもたぶん残っており、国債買入の減額ということになるテーパリングはかなり慎重に行わないと市場の動揺を招きかねない。そもそも日本の国債市場が金利の上昇に耐えられるのであろうかとの疑問も残る。非伝統的な金融政策の出口政策をみる上では、日銀の対応が最大の焦点となろう。

#リフレ #アベノミクス