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新築か?中古か?マンション選びに役立つ「ファイナンス思考」 「収益還元法」「正味現在価値」の考え方を学ぶ|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン

銀行の預金金利が10%の世界を想定してみよう。


この世界では、今日100万円を預ければ1年後には110万円になる。つまり、1年後に100万円を受け取りたければ、今日のうちに約90.9万円を預ければいいということだ(90.9万円×1.1=99.9999…万円)。


裏を返せば、1年後の100万円の今日時点の価値(現在価値)は、90.9万円しかないということを意味している。


では、さらに2年後の100万円の現在価値はどうなるだろうか? 簡単だ。1年後に90.9万円になっていればいいのだから、約82.6万円(=90.9万円÷1.1)である。参考までに、定式化するとこうなる。


X円のn年後の現在価値 = X円 ÷ (1+金利)のn乗


このように将来のお金の価値を、現時点での価値に割り戻すことで、さまざまなものの価値の比較が便利になる。


このとき、金利10%をファイナンスの世界では、割引率(Discount Rate)と呼ぶ。
割引というと「スーパーの値引き」のようなイメージがあるが、そうではなく、「将来のモノの価値をどれくらい割り引いて考えるかの度合い」が割引率である。

たとえば「1年後の100万円」と「10年後の200万円」とでは、どちらの価値が高いだろうか? 同様に10%の金利(割引率)で計算してみよう。


・1年後の100万円 → 90.9万円(≒100万円÷(1.1)の1乗)


・10年後の200万円 → 77.1万円(≒200万円÷(1.1)の10乗)


これを比較すれば一目瞭然。1年後の100万円のほうが、10年後の200万円よりも価値が高いことがわかる。

価値は「そのモノが将来に生み出すキャッシュフローの価値総額」だった。とはいえ、単純に将来のキャッシュフローを足し算するわけにはいかない。


なぜなら、1年後の300万円と10年後の300万円には、現在価値で見るときわめて大きな差があるからだ。


したがって、ファイナンス的な価値を導くためには、将来キャッシュフローの現在価値を足し上げなければならない。


こうして求められるモノの価値を正味現在価値(NPV: Net Present Value)という。

また、将来キャッシュフローの現在価値の総和によって、そのモノの価値を導き出す方法をDCF法(収益還元法: Discounted Cash Flow Analysis)という。

そう、この新築マンションの本当の価値は約4729万円だということになる。


では、あと30年しか貸し出せない中古マンションのほうはどうだろうか? 同じように計算してみると、驚くべきことにこちらにも4129万円の価値がある。


つまり、両方のマンションの価値の差は、たった600万円程度に過ぎない。妹は「新築のほうが6000万円ほど得だから、現金2000万円は自分がもらいたい」と言っていた。つまり、もしもあなたが妹の提案に乗っていたら、あなたが相続する資産の価値総額は4729万円、妹のほうは6129万円(=4129万円相当のマンション+現金2000万円)ということになる。とんでもないペテンだ。

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