「才能のあるなし」はSNSに滲み出てくる 佐渡島庸平(コルク代表)×三木一馬(元電撃文庫編集長)対談 その2|ぼくらの仮説が世界をつくる|ダイヤモンド・オンライン
取材漫画は、僕個人的には一種の「芸術」とまで思っていて、「自分の人生では絶対に触れられない世界を疑似体験させてくれる」ことの集大成だと思うんです。もちろんファンタジーやSFでもその要素は大切なのですが、取材漫画はそれ以上に調べないと描けない専門性と、フィクションだけどリアルな説得力を加えないといけないため、僕は「取材漫画は一種の芸術」といえるのでは、と思っています。
そのときに、自分の市場価値を思い知らされました。27歳とかだと、世間に出ると自分はどのくらいの給与をもらえるのか。市場価値よりも自己評価のほうが、高いんです。講談社の給料っていうのは、講談社の先輩たちがやった実績によって、僕に払われているだけで、僕の実力じゃないんだなと思い知りました。自分はもっと実力をつけないといけない。自分の市場価値ってなんだろうっていうことを『エンゼルバンク』以来、ずーっと本気で考えていて、その延長に独立があるんですよ。
作中で「今は、モノを売るときに『共感』がキーワードになっている。背景にあるストーリーに共感するからそのモノを欲しいという時代になってきた」。これは、すごくおっしゃるとおりだと思います。
僕も、作家さんはこれから、ソーシャルにつながることで、背景にあるストーリーやドラマを見せることが必要になるだろうと思います。もちろんそうしない旧来のスタイルの方もいらっしゃって構わないのですが、今後はそういうチャンネルもひとつ増えたよ、ということです。
そこでネット上で、原稿書けるかどうかわからないけど面白そうな人に声かけたんです。たとえば山中俊治さんというすごいデザイナーの方に、「未来のロケットデザインについてエッセイを書いてみてください」って頼んでみるとか。
Twitterでその人の発言を24時間365日見ていると、その人がどういうところにアンテナを張っていて、面白いものを書けるか書けないかっていうことは、書いたことなくても想像できるんです。だからこっちのアンテナの貼り方次第で新人て見つけられるなって思うんですよ。
今後の漫画家とか小説家や新しいクリエイターは、SNSをどう使いこなせるかが重要。さらには自分をプロデュースしてくれて、自分が作品に集中できる環境を作ってくれるのが重要だから、そのために自分で編集者を見つけることも必要になってくると思います。昔は、自分にあった媒体を見つける必要があったわけですが、これからは、自分のためにチームを組成してくれる人が必要になります。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160512#1463049857
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160509#1462790465