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三菱自ほど騒がないスズキの燃費不正 2社のどこが違うのか? : J-CASTニュース

TIWの自動車アナリスト、高田悟氏は、「同じ不正操作であっても三菱自のほうが深刻にみえるのは、まず測定方法に『高速惰行法』を使っていること。これは明らかな不正で、関係者であれば分かっていたことです。さらには測定した数値の中から、『意図的』に燃費が良くなるようなデータを国に提出していたことがあります」と指摘する。


一方のスズキは、惰行法による走行抵抗値を測定していなかったわけではない。説明を聞く限りでは、「意図的ではなく、惰行法によるデータに近づけるように、比べながら計測して『誤差』がなかったので、そのまま使ってしまったとしている」と話し、「意図的」であったかどうかで、メディアや株式市場などの評価が違ったのではないかとみている。

スズキは“不正”をしたのか:日経ビジネスオンライン

 スズキの何が問題だったのか? それは本来、実車を走らせて測定すべき走行抵抗を、実車ではなく、タイヤや軸受、変速機など部品ごとの個別の抵抗値を室内の実験装置で測定し、それを足し合わせて、車両全体の走行抵抗として国土交通省に提出していたというものだ。法令に規定されたやり方で測定していないという点で、「法令違反」であることは明らかなのだが、では“不正”なのかというと、そう言い切るにはためらいがある。善意すぎる解釈かもしれないが、スズキの今回の「違反」は、データをなるべく真の値に近づけようとして起こったことだからだ。

 なぜこんなことが起こったのか。スズキは、同社が所有する相良テストコースが海に近く、丘の上にあることから風の影響を著しく受けることを理由に挙げている。最近のクルマは低燃費化のための転がり抵抗の減少や車体の軽量化により、風による影響を受けやすくなってきており、測定結果のばらつきが大きくなっていることが背景にあるという。

 このスズキの言い分を理解するには、走行抵抗を測定するための「惰行法」についていま一度、理解する必要があるだろう。惰行法による走行抵抗の測定では、クルマをある一定の速度まで加速し、所定の速度になったらギアをニュートラルに入れ、惰行、すなわち惰性で走行させる。惰性で走行するクルマは当然のことながらだんだん速度が落ちてくる。この速度の落ち方を測定することで、走行抵抗を求める手法が惰行法である。


 これもコラムの第52回で説明したことだが、走行抵抗は大きく分けて「転がり抵抗」と「空気抵抗」の二つで構成される。転がり抵抗は、タイヤと路面の間で生じる抵抗で、この抵抗値は速度にかかわらず一定だが、もう一つの空気抵抗はクルマの速度の二乗で増加するので、走行抵抗は、速度に対する二次曲線になる。

 だからといってスズキが惰行法でデータを取っていなかったわけではない。会見でも同社が強調していたのは、今回対象の16車種すべてにおいて、惰行法でもデータを取っていたということだ。通常は、その惰行法で測定したデータのばらつきの平均を取って、最終的な走行抵抗を求める。しかし会見では、ばらつきの多いデータの平均を取るよりも、より安定してデータを測定できる個別部品の測定データの積み上げで算出するほうを「ついつい使ってしまったのではないか」(鈴木俊宏社長)という。

 一方、スズキの会見と同じ日に、三菱自動車も今回の燃費偽装で4度目の会見を開いたのだが、そこで明らかになった事実は、同社の寒々とした開発現場の様子をうかがわせるものだった。


「性実部長および性実管理職は、燃費目標達成の難しさを認識していたにも拘わらず、燃費目標達成業務を子会社に丸投げの状態で、子会社管理職からの相談、報告があった場合しか対応していませんでした。さらに、子会社からの報告内容の検証をすることもなく最終設計品質確認会議等で報告しており、業務責任を果たしていませんでした。また、プロダクト・エクゼクティブ(以下、PX)および開発プロジェクト・マネージャー(以下、開発PM)も、走行抵抗の詳しい確認をせず、燃費値の測定結果報告を受けることに終始していました」