アメリカ国防総省は21日、アフガニスタンの反政府武装勢力、タリバンの最高指導者、マンスール師を狙って空爆を実施したことを明らかにしました。
この空爆について、アメリカ政府当局者はNHKの取材に対し、まだ結果は検証中だとしながらも、マンスール師は死亡したとみられるという見解を示しました。この当局者によりますと、現地時間の21日午後2時半ごろ、パキスタン国内のアフガニスタンとの国境付近で、アメリカ軍の特殊部隊が運用する複数の無人攻撃機が、車両で移動中のマンスール師を狙って空から攻撃したということです。
マンスール師は、前の最高指導者のオマル師の死亡を受けて、去年7月に後継に選ばれましたが、国防総省によりますと、タリバンの幹部らにアフガニスタン政府との対話への参加を禁じるなど、和平交渉の障害となっていたということです。
今回の空爆はオバマ大統領の承認のもと、実施されたということで、アメリカ政府としては、マンスール師の殺害で和平交渉を前進させたいねらいもあるとみられ、今後の交渉の行方にも影響を与えそうです。
アフガン政府「タリバン最高指導者が米軍空爆で死亡」 | NHKニュース
アメリカ国防総省は21日、タリバンの最高指導者、マンスール師を狙って空爆を行ったことを明らかにしました。
これについて、アフガニスタンの情報機関、国家保安局は22日、声明を出し、隣国パキスタンの南西部バロチスタン州で、車に乗っていたマンスール師が空爆を受け死亡したと発表しました。
マンスール師は去年7月、前の最高指導者オマル師の死亡を受けて後継者になってから各地で軍や治安部隊を襲撃し、アフガニスタンやアメリカの政府からの和平の呼びかけに応じていませんでした。
そのマンスール師を殺害したことで、アメリカ政府としてはアフガニスタンで和平を実現させたいねらいがあるとみられますが、最高指導者を殺害されたタリバンが反発し、攻勢を強めることも予想されます。タリバンは、これまでのところ声明などは出していません。
反政府武装勢力タリバンの最高指導者、マンスール師をアメリカ軍が空爆したことについて、ケリー国務長官は訪問先のミャンマーで、「マンスール師は、アフガニスタン政府との和平交渉への参加に反対しており、アメリカ軍やアフガニスタンの市民にとって差し迫った脅威だった」と述べ、軍事作戦の意義を強調しました。
また、「この行動は、アメリカが引き続きより安全で安定し繁栄するための国づくりをアフガニスタンの人々とともに続けていくことへの明確なメッセージだ」と述べ、マンスール師を排除することでアフガニスタンの国の再建を進めたい考えを示しました。