参議院議員時代の平成24年に政治資金で2台の車を購入し、このうち1台は神奈川県湯河原町の別荘で私的に利用していたのではないかと指摘されたことについて、弁護士は、別荘で使用されていた事実はないとして不適切な部分はなかったとしました。
舛添知事はインターネットのオークションなどを通じて政治資金で多数の美術品などを購入していたことについて、これまで「海外の方への贈り物や研究資料として活用している」などと説明し、問題はないという考えを示していました。
これについて、弁護士は「政治活動と関わりがないとは言えない」としたうえで、「購入した絵画、版画などはあまりにも多すぎ、合計金額も多すぎる。趣味的色彩が強く、過去に舛添氏が美術品による財テクに言及したことも踏まえると違法ではないものの、政治資金の支出としては不適切だったというほかない」と指摘しました。
東京・世田谷区の自宅に政治団体などの事務所を置き、政治資金から家賃として月額40万円余りを妻が社長を務めるファミリー企業に支払っていることについては、賃料が不当に高いうえ、一時期、賃料が二重に支払われているのではないかという指摘が出ていました。
このうち、賃料については、周辺の地域の事務所の賃貸物件と比較した結果、相場とさほど変わらず、特段、割高ではないとしています。また、二重支払いについては、自民党の参議院議員だった舛添知事が新党改革を立ち上げたことで、事務所の借り主が自民党の政治団体から新党改革の政治団体に移り、これに伴って、契約上、10日余りの賃料の二重支払いが形式的に生じたもので、問題はないと判断したということです。
舛添知事は、ほぼ毎週末、公用車を使って行っていた神奈川県湯河原町にある別荘について売却する考えを示しました。
調査では、合わせて19件の宿泊費について、目的や使い方などの詳細を調べ、このうち6件、合わせて80万円が「不適切だ」と指摘しました。
6件のうち、すでに明らかになっている2年前と3年前の正月に家族と宿泊した千葉県木更津市のホテルの2件に加え、新たに、4年前に栃木県日光市のホテルに支払った8万円余りと、5年前に横浜市のホテルに支払った19万円余り、6年前に山口県下関市のホテルに支払った7万円余り、同じ年に大阪市のホテルに支払った7万円余りの合わせて4件が不適切と指摘されました。
6件の宿泊費は合わせて80万2841円に上ります。いずれも、支援者などとの会合を行っているものの、家族や友人とともに宿泊していて、「主たる目的は『家族旅行』だったと解釈せざるをえない」と判断しています。
報告書では「政治資金の使いみちについては法律上の制限はないため、違法とは言えない」としながらも、不適切と指摘された6件について是正の必要があるとしています。6日の会見で、舛添知事は「みずからの個人資産から返金したい」と述べ、慈善団体への寄付を検討していることを明らかにしました。
舛添知事がコミックやクイズ本、それに児童書を政治資金で購入していたことについて、弁護士は「福岡県の出張に家族が同伴した際に購入されているため、家族のために購入したとみられてもやむをえない」として、違法性はないが適切であったとは言い難いと指摘しました。
今回の調査を前に、舛添知事は2年前と3年前の正月に家族で宿泊した千葉県木更津市のホテルの代金合わせて37万円余りについて、すでに返還する意向を示していますが、ホテルで開いたとする会議の実態については明らかにせず、今回の調査の焦点の一つとなっていました。
これについて、今回の調査報告書では、「つきあいが長く、以前から相談相手だった元新聞記者で出版会社の社長を客室に招き会議を行った。2年前の宿泊の際は、都知事選への立候補について1時間程度、3年前は政治家としての今後について数時間程度話し合った」と説明しています。
会議の実態について、調査を行った弁護士は、同席したとする出版会社の社長からは話が聞けなかったものの、舛添知事への聞き取りや社長の周辺の関係者への調査によって判断したということです。
東京都の舛添知事は記者会見で、「心から反省し、公私の区別を明確にして皆さまがたの信頼を少しずつでも取り戻すべく、粉骨砕身、都政の運営に努めて参りたい」と述べ、引き続き知事の職務に専念する考えを示しました。
また、みずからの責任についてどう考えるかという質問に対して、舛添知事は「都民の代表である都議会の皆様と、代表質問や一般質問を通じて、しっかりと議論をして参りたい。そして真摯(しんし)にいろんな質問にお答えをしたい。その過程で、どういう対応を取るのか、考えて参りたい」と述べました。
さらに、知事を辞職するかどうかイエスかノーかで回答してほしいという記者の質問に対して、舛添知事は「イエスかノーかで簡単に答えるような問題ではない。真摯(しんし)に反省して都政のために働くということだ」と述べました。
舛添知事は、この1年間に行った54回の視察のうち、美術館や博物館の視察が39回、およそ7割を占めていて、「公私混同だ」などという指摘が出ていました。
これについて、調査報告書では「舛添知事は4年後の東京オリンピックに向け、文化を世界に発信することを課題としているため、視察には一応の理由があるといえる」としています。そのうえで、「美術館への視察回数が多く偏りがみられることや、みずからの趣味のためだと疑念を招いていることから、視察先を選定するうえでは、福祉の充実など、都民の声に応えるような行動や配慮が必要だ」と意見をつけています。
舛添知事は、神奈川県湯河原町にある自身の別荘に行くため都の公用車を使っていて、その数はこの1年間で48回に上っています。都民などからの批判が強まったことを受け、舛添知事は先月9日、別荘に行く際は原則、公用車を使わない考えを示しました。
今回の調査報告書では、公用車の問題について、「公務先の都庁から別荘に行くことは、直ちに都のルールに違反するとまでは言えないが、世田谷区の自宅に立ち寄ってから向かうのは、ルールに抵触する可能性がないとは言えない。都民の納得を得るよう心がけ、誤解を招くことのないようにすべきだ」と意見をつけています。
舛添知事会見 弁護士「違法性ないが一部不適切」 | NHKニュース
記者会見は午後4時から始まり、はじめに舛添知事は「政治資金で指摘を受けて多くの方にご心配をかけ心からおわび申し上げます。多数の苦情が電話で寄せられていて、多大なご迷惑をかけ、おわび申し上げます」と述べ、改めて陳謝しました。
そのうえで、調査にあたった佐々木善三弁護士らが調査結果を説明し、舛添知事が関係する政治団体の支出について、政治資金の使途に制限はないため、いずれの支出も違法性はないとしつつも一部に不適切な支出などがあったと指摘しました。
この中では、19件の宿泊費のうち、新たに、4年前に栃木県日光市のホテルに支払った8万円余りと、6年前に山口県下関市のホテルに支払った7万円余りなど4件合わせて43万円余りについて、主な目的は家族旅行と解釈するのが合理的だなどとして適切とは言えないとしています。
また、2年前と3年前の正月に家族と宿泊した千葉県内のホテルで開いたとする会議については、「相談相手である元新聞記者の出版社社長と、それぞれ数時間と1時間程度面談していた」としていますが、「全体としてみれば家族旅行と判断するほかない」などとしてこれらも不適切だったとしています。
また、これまでに明らかになっているものも含めて14件の飲食費合わせて33万円余りについて、私的な飲食だったなどとして是正を求めています。
さらに、インターネットのオークションなどを通じて多数の美術品などを購入していたことについては、「政治活動と関わりがないとは言えない」としたうえで、「あまりにも多すぎ、合計金額も多すぎる。趣味的色彩が強く、違法ではないものの、政治資金の支出としては不適切だったというほかない」と指摘しました。
舛添知事は「公私の区別を明確にして信頼を取り戻すべく都政の運営に努めていきたい。信用できないという厳しい批判を受けていることは十分承知していて、けじめをつけたい」と述べ、宿泊費や飲食費については個人資産から返金し、慈善団体に寄付したい考えを示しました。
佐々木善三弁護士は東京地検特捜部の元検事で、これまで政治家の汚職事件などの捜査を担当してきました。東京地検特捜部の副部長時代には、国会議員の元秘書が公共工事を巡って不正な口利きをしていたいわゆる「業際研事件」や鈴木宗男元衆議院議員が収賄などの罪に問われた事件の捜査を指揮したほか、京都地方検察庁の検事正などを歴任しました。4年前に検事を退官したあとは、弁護士となり、小渕・元経済産業大臣の政治資金を巡る事件では第三者委員会の委員長として事実関係の調査に当たったほか東京都の猪瀬前知事が徳洲会グループから現金を受け取った事件や日歯連・日本歯科医師連盟の政治資金を巡る事件などで弁護を担当していました。
森本哲也弁護士は弁護士登録後、アメリカやヨーロッパの大学に留学し、その後、検事に任官しました。さいたま地検の検事時代には、財政経済関係の事件を担当していました。
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