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「みんな一緒」を強要する日本の職場は海外企業に勝てない|ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹|ダイヤモンド・オンライン

 人種、宗教、国籍などダイバーシティの高い本学のキャンパスでは、一人一人の文化的背景、宗教的背景が違うため、必然的にコミュニケーションはシンプルかつ直接的、そしてロジカルなものでなくてはならなくなる。


 もちろん筆者ら教員も皆、世界各国から来ているため、同様だ。自分の考えを表現するためには、英語のわかりやすさはもちろん、相手がどのような考えなのかを事前のコミュニケーションで把握する必要がある。他の教員の国籍、専攻、年齢などの個人的な情報はもちろん、かつての学生からの評価、付き合いの長い同僚による評価など、あらゆる情報が役に立つ。相手の人種的、文化的な背景を知っておくことにより、コミュニケーションは格段に取りやすくなるのだ。


 皆のバックグラウンドが違えば、当然のことながら価値観も異なる。したがって、問題の解決や何らかについて合意を得ようとするときは、価値観の違いを乗り越えるためのコミュニケーションが必要となる。


 筆者の経験では、価値観の違いを乗り越えてコミュニケーションをとるための最も大切な要素は「わかりやすさ」と「公平さ」だと感じている。事実、学内会議でさまざまな問題を話し合うが、論点のほとんどは「どうすればフェアな意思決定ができるか」である。フェアであるために、必要な情報をできるだけ集めて共有し、意見を集約するのである。


 このように否が応でもコミュニケーション力は磨かれるが、それは日本の就職活動等の際に求められる「コミュニケーション力」とは少し違うのではないかと筆者は見ている。

 日本で要請されるコミュニケーション力とは、「誰とでもうまくやれる力」、すなわち、誤解を恐れずに言えば「コミュニケーション力のない上司やクライアントなどとコミュニケーションできる力」である。仮に上司が論理性もなく、感情で動き、えこひいきの激しい人だったとしても、そのような人物と表面上「うまくコミュニケーションをとって、仕事を進められる」人が求められるのだ。

 コミュニケーションを行う際、双方が「価値観の違いを明らかにして、それを乗り越える」という姿勢を示さない限り、相互理解は得られない。片方のみが「考え方の違いを乗り越えよう」という姿勢を持っていても、もう一方が自分の考えに固執する限り、価値観の相違を乗り越えることは難しい。

 事実「20のステートメントテスト」と呼ばれる心理学実験を行うとそれが明らかになる。これは「自分は○○である」という文章を思いつくままに20文、すばやく書いてもらうという単純な実験だ。

つまり、自分が何者かを見る一番重要な基準は、日本では「所属コミュニティとの同質性」なのに対しアメリカでは「個人の異質性」なのである。

 有名な例がある。1997年、一度アップル社を解雇されていたスティーブ・ジョブズは再びアップルに戻り、再建策を練った。その策の中の最大のサプライズが、マイクロソフトとの提携だった。ジョブズのプレゼンの際、オンライン上でビル・ゲイツがライブコメントをするという演出を行い、各国新聞のトップを飾った。


 もとはといえば、アップルが開発したユーザーインターフェイスゲイツが真似てウィンドウズを作り、それに激怒したアップル側が彼を提訴するという事態も生じていた。さらにはウィンドウズの爆発的ヒットによりアップルはシェアを失い、凋落の一途をたどっていた。両社の仲が険悪な状態に陥っていたのは周知の事実だった。


 その葛藤を乗り越え、ビジネスパートナーして提携をなし遂げたジョブズゲイツのコミュニケーション力は凄いものだったといえよう。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160607#1465296473
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151221#1450694395