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関係者によりますと、大手銀行の三菱東京UFJ銀行は「国債市場特別参加者」と呼ばれる国債の入札に有利な条件で参加できる特別な資格を国に返上する方向で検討しています。この資格は、大量に発行される国債の安定消化を図ろうと国が大手の銀行や証券会社を対象に付与しているもので、各金融機関は国債の入札について財務省と意見交換できる一方、すべての入札で発行予定額の4%以上の応札が義務づけられています。
今回、三菱東京UFJ銀行がこの特別な資格の返上を検討しているのは、日銀によるマイナス金利政策の影響で多くの日本国債の利回りがマイナスまで低下したことで、運用益が稼げなくなるなど保有するメリットが薄れていることがあり、実際に返上すれば、国内の大手銀行では初めてのこととなります。
政府は今年度、過去に発行した国債の借り換え分も合わせて年間でおよそ162兆円もの国債を発行する計画で、大手銀行などがその主な買い手となっているだけに、国債の購入に距離を置くこうした動きが今後ほかの金融機関でも出てくるのか、またその場合、国債の市場にどのような影響が及ぶのか注目されます。

焦点:国債市場の対話維持へ正念場 三菱UFJ離脱、波紋の恐れ | ロイター

国債市場を支えてきた三菱東京UFJ銀行の特別参加者(プライマリー・ディーラー)からの離脱は、日銀のマイナス金利政策によって市場構造が大きく変化している現状を浮き彫りにした。プライマリー・ディーラー制度の導入から12年。同行に追随する動きが広がれば、制度の存続を揺るがす事態に発展しそうだ。


<判断の背後にマイナス金利


三菱東京UFJ銀が、財務省に対して資格返上を打診したのは5月下旬のことだった。


日銀は、今年1月29日にマイナス金利政策の導入を決定。長期金利の指標となる10年物国債利回りJP10YTN=JBTCは2月9日、史上初めてマイナス圏に低下した。


複数の関係筋によると、同行は、PDに課されている発行予定額の4%以上の応札を続けるのは困難と判断し、財務省に意向を伝えた。7月にも離脱する方向だ。


引き金となったマイナス金利政策をめぐって、同行は「(銀行にとって)明らかにネガティブ」(三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長)との立場を崩していない。


今回の判断を受けて「金融政策と密接な国債市場との『決別』を演出し、マイナス金利の深堀りをけん制する狙いもあるのではないか」(市場筋)との観測もくすぶる。


主力行の一角が離脱しても、市場の混乱を懸念する声は出ていない。


同行が資格を返上しても、系列の三菱UFJモルガン・スタンレー証券モルガン・スタンレーMUFG証券はいずれもPDにとどまるとみられ、全体では、発行予定額の80%という高い応札率が担保されているためだ。


財務省は15年4月から応札責任の比率を3%から4%に引き上げた。以前の入札では70%台でも多くの需要が集まり、これまでも不安視された例はない。


「PD資格を返上しても、入札に応じられないわけではない」(三菱東京UFJの関係者)ことから、国債投資そのものは続ける姿勢を維持していることも、不安感が少ない理由だ。


<注目される外資系の動向>


ただ、日銀が現状の異次元緩和の手法を見直し、出口戦略に向かう際にも市場が平静でいられるかは疑問が残る。


今回の三菱東京UFJ銀の離脱は、他の銀行の経営判断に影響を及ぼす可能性がある。さらに外資系証券を含めた金融機関に離脱の動きが広がれば、連携の受け皿を失いかねない。


同行の資格返上に関し、菅義偉官房長官は「国債の安定的な消化が確保されるよう、市場との緊密な対話に基づき適切な国債管理政策に努める」と8日の会見で述べたが、対話を続けられる市場を維持し続けられるかどうか――。先行きの課題を残した格好と言える。

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