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テクノロジーの力で働く環境を変えれば人と出会い考える時間が増えて潜在力が発揮できる【レノボ・グループ留目真伸社長×日本マイクロソフト平野拓也社長 対談2】|外資系トップの思考力|ダイヤモンド・オンライン

平野 だからこそ、われわれには、お客様が新しいテクノロジーを自分事として感じられるようなストーリーを語れるかどうかが問われています。そのシナリオはお客様によって千差万別で、近年よく言われているインダストリー4.0、つまり第4次産業革命というテーマなのかもしれないし、グローバライゼーションや地方創生という言葉になるのかもしれない。そこはまさにお客様のニーズの本質をつかむことであり、お客様にもっとも刺さるテーマをこちらが選ばなければなりません。お寿司を食べたがっている人に、ステーキを出すわけにはいきませんから。少なくとも相手に食欲があるのであれば、こちらはできるだけ相手が食べたいものを食べやすいかたちで提供する責任があります。それこそが今後われわれが日本で取り組むべき課題です。


留目 とはいえ、第4次産業革命という点から言えば、お客様の希望以前に、あらゆることがテクノロジー・ドリブンとなって高度にデジタル化された世界が実現することはもはや明らかです。ですから、お客様に対しても、その世界にどのように適応していくかという観点からさまざまな提案をしながら、お客様の理想をかたちにしていくプランを作っていくことになるでしょうね。


平野 お客様のデジタル・トランスフォーメーションのジャーニー(旅)を一緒に歩むにあたって、われわれに求められているのは、これまでの製品やソリューションの販売のように「ツールありき」の考え方ではなく、「インパクト・ベース」の考え方だと思います。
インパクト・ベースとは、従来型の積み上げ式の考え方ではなく、顧客にもっとも強い影響を与えるインパクト・ポイントを決めて、そのポイントに対して何ができるかを考えていくことです。デジタル・トランスフォーメーションの必要性を説くにあたって、先ほど話した「アンカンファタブルだけど、理にかなった提案」というのはまさにインパクト・ベースの考え方から生まれてくるものです。具体的に何をするかという段階になれば、われわれはITベンダーですから結局はツールということになるのですが、考え方の順番を明確にして、社内に浸透させていく必要性を感じています。


留目 そもそも今の時代って、誰にとってもアンカンファタブルですよね。今は第4次産業革命の真っただ中で、誰もが変わることを強いられています。ところが人間の性として、たいていのお客様は「変わりたくない」「今まで通りのやり方でやりたい」と思っていますから。変わりたくないお客様にとっては、どんな提案もアンカンファタブルに映ってしまう(笑)。
 とはいえ、すでに時代は新たなフェーズに向かって動き出しており、われわれが生きるこの世界は高度にデジタル化された環境へと移り変わっているので、もはや「変わりたい/変わりたくない」という次元ではなく、変わらざるを得ない。その変化を上手くナビゲートしていくことが、われわれITベンダーの役割だと考えています。
 そして、その役割を果たすには、自分たち自身がデジタル・トランスフォーメーションをドライブさせて、業務のオペレーションや社員のワークスタイルに変革をもたらさなければなりません。その成果をお客様との対話の中でしっかりと提示できれば、お客様の不安を和らげたり、デジタル・トランスフォーメーションの必要性を理解していただくきっかけになるのではないでしょうか。

平野 留目さんご自身もテレワークを実践しているのですか?


留目 ええ、かなりやっています。会社にいても大会議室での会議は極力やめていて、自分が議長役を務める会議でも自室から出席しています。会議という“場”を作ってしまうと、どうしてもその場に集まることが主たる目的になってしまうので、場をつくらずにテレワークしやすい環境づくりを自分自身も心がけています。環境を変えると、外に出かけて人に会う時間が増えたり、考える時間を確保できて、色々な刺激を受けられますよね。


平野 マイクロソフトでも、ワークスタイルの変革に相当力を入れているんです。今年5月には日本マイクロソフト就業規則を改めて、従来の在宅勤務制度から取得できる日数・申請手続き・勤務場所などの制限を取っ払い、フレックスタイム制度においてもコア・ワーキングタイムをすべて撤廃して、テレワークを実践しやすい環境整備をさらに進めました。
 こうしたワークスタイルの変革は、日本でも多くの企業が取り組んでいますが、私がいつも考えているのは、「働き方のルールを変えた」だけで終わってしまったら意味がない、ということです。この対談で再三あがっている物事の本質の話ともつながるのですが、「なぜルールを変えたのか」という根本的な理由を明確にしなければなりません。
テレワークのメリットとしてよく言われるのが「職場でおこなっていた仕事を家でもできるようになること」ですが、そこが真のポイントではないと私は考えています。では、本当に大事なことは何かといえば、「自分のポテンシャルを最大限に発揮できる環境をつくること」ではないかと。育児をしなければならない、親の介護をしなければならない、というのはあくまでも働く環境を形作るファクターの一部であり、そうしたことも含めて自分の実力をもっとも出し切れる環境を作っていくことがテレワークの真の目的だと思うのです。

留目 私にとって会社とは、ある目的を実現するための大きなプロジェクトだと認識しています。レノボを例にすれば、コンピューティングパワーをよりパーソナルなものにしていくという目的のためにわれわれは集まっています。その会社、その組織でしかできない事業は間違いなくあると思うし、それをやりたい人たちが集まって、さまざまなアイデアを出しながら試行錯誤を繰り返して目的を実現していくことが、会社組織のあるべき姿ではないでしょうか。


平野 留目さんがおっしゃる“目的”は、“企業ミッション”という言葉に言い換えることもできますよね。たしかに、マイクロソフトで働く理由を突き詰めていけば、最終的には先ほど話した「地球上のすべての個人とすべての組織に、より多くのことを達成できるようにする」というミッションに行き着きます。


留目 だからこそ、組織のトップは全社員が共感できるような目的やミッションを打ち立てて、そのメッセージを繰り返し発信し続けなければいけないと思っています。

留目 仕事に対するモチベーションは、なぜその仕事をするのかという目的がはっきりしていることが大事ですよね。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160608#1465382286
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