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【夕焼けエッセー】思い出 - 産経WEST

 最近、部屋の整理をしていて、捨てるのにものすごく苦労しているものがある。小学校時代の教科書やノートである。


 今となっては覚えていないような内容の話も、小学生のころの大切な思い出のような気がして捨てられない。


 母にも「早く捨てなさい」と言われるが、捨てようとした前日に心配になり、結局捨てられない。お世話になった教科書やノートが焼きゃく場で燃えているのを想像すると眠れなくなる。


 できれば全部残しておきたい。でも僕の部屋の空間には限りがある。そして、中学に入ってからの荷物で精一杯なのである。考えてみると頭の中もそうだ。中学に入って、1年と少し過ぎて、もはや小学生時代は前世の記憶に等しい。今のことだけで精一杯だ。だからこそ、思い出を美しく感じるのかもしれない。形に残しておきたいのかもしれない。


 でも、戻りたくはない。今は楽しいし未来も楽しみだ。過去は過去でしかない。だからきっちりけじめをつけて、別れを告げなければいけない。しかたのないことだ。


 きちんとわかっているが、なかなか捨てる気にはならない。このままではゴミ袋が永久に減らない。なんとかしなければ。


 ここに並べたきれいごとが、僕の部屋もきれいにしてくれないものかと切実に願う。


中井颯人 13 中学生 兵庫県西宮市