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妻の病気、父の借金、成田屋の伝統−−海老蔵が背負う重圧 - ZAKZAK

 海老蔵には背負うものが多い。父・團十郎(享年66)は生前、親族の不動産業の失敗を受け、保証人として19億円の借金を抱え込んだ。1992年に歌舞伎の興行主である松竹が借金を肩代わりしたが、その際、團十郎の家と土地は松竹所有になった。


 「未だに名義は松竹のまま。團十郎さん亡き今、借金を返せるのは海老蔵さんしかいない」(前出・歌舞伎関係者)


 必然、海老蔵の仕事のスケジュールは過密なものになる。2016年の彼の公演を見ると、1月3日の新春花形歌舞伎に始まり、グランドジャパンシアター(2月)、市川海老蔵特別公演(3月)、源氏物語(4月)、團菊祭五月大歌舞伎(5月)、那須芸能フェスティバル(6月)と休みがない。7月以降も年末まで同様に公演が続く。


 加えて團十郎の死後、海老蔵は松竹の興行とは別に、自主公演『ABKAI』を定期的に開催してきた。


 「現在は上演されなくなった江戸時代の演目を復活させ、成田屋をさらに成長させたいのだそうです。“歌舞伎界はおれが背負う”という気概を感じます」(別の歌舞伎関係者)

 公演以外の新たな仕事も入れている。ドラマやCMに出演し、2013年夏からは『ABMORI』という植林プロジェクトも立ち上げた。8月にはディナーショーも行う。


 「麻央さんの治療費も捻出しなければいけません。彼女が入院していたのは、セキュリティーやプライバシー保護の観点から1泊10万円超のVIP部屋。乳がんの場合、最新の治療を受け続ければ年間3000万円は下らないといわれており、入院費用も合わせれば莫大です」(前出・歌舞伎関係者)


 金だけではない。海老蔵の屋号『成田屋』は歌舞伎界の宗家と呼ばれ、350年の歴史を背負う名門中の名門。看板に恥じぬよう日々芸の鍛錬が求められ、興行の失敗は許されない。


 妻の病、金銭事情、家の重圧−−。八方塞がりの海老蔵が、奈落のごとき深い絶望を感じることもあるだろう。それでも彼は日々の微笑みをブログでアップし続けている。


 6月1日、海老蔵は千葉県の成田山新勝寺で出家の儀式である得度を授かったことを明かした。先の会見でその理由を問われ、彼は答えた。


 「どれだけ瞬間瞬間を大事に生きることに費やせるか。闘病はこれからも続くし、人も波がある」

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