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ハイリスク銘柄で痛い目を見る人、大して動じない人|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン

いくつかの個別銘柄しか保有していない人間と、すべての株式にバランスよく投資している人間とでは、あえてハイリスク株を持つ意味が、まったく違うのである。

当時、注目のベンチャー企業だったライブドアの将来性に賭けて、全財産をライブドア株に突っ込んでいた人がいるかもしれない。その年にライブドア上場廃止になったが、当時に同社の株式を持つこと自体には、やはりそれなりのリスクがあったはずなので、株主としてはかなり高いリターンを要求していたはずである。そうでなければ割に合わないからだ。


一方、ベンチャー企業だけでなく、重厚長大な産業の株式も含めて、バランスよく投資していた人からすれば、ライブドア株ポートフォリオ全体のごく一部だったはずだ。


重厚長大産業銘柄はライブドア事件の影響を受けなかっただろうから、ライブドア1社が上場廃止になろうと、ほとんど痛手を被らなかっただろう。そういう人にとっては、ライブドア株保有するリスクは、やはり大したことはなかったのである。

以上がノーベル賞経済学者ウィリアム・シャープの考え出したCAPM理論である。


この理論が画期的だったのは、個別株式のリスクをそれ自体のリスク(ボラティリティ)の高さだけで見積もろうとする発想を捨てた点だ。


そこで彼が導入したのが、各個別株式がマーケット・ポートフォリオに対してどの程度動くかを示した「β」(シャープのβ値)という指標である。

注目したいのは、個別株式のβは単にボラティリティの大きさで決まるわけではなく、個別株式とマーケット・ポートフォリオ(MP)の「相関係数」も加味されているという点だ。

ノーベル賞経済学者のシャープの考え方は、市場全体を一種の有機体のように捉える発想だとも言えるかもしれない。


マーケット・ポートフォリオが人体なのだとすれば、個別株式はそれを構成するそれぞれの細胞である。それぞれの細胞が健全に機能することで、人体の健康が保たれているのと同じように、それぞれの個別株式が独立した動きをすることで、マーケット・ポートフォリオはリスク・リターン平面の王者でいることができる。


ある細胞がガン化して増殖をはじめれば、人体に深刻な影響を与える。それと同様、ほとんどの株式が同じ動きをするようになってしまったら、そこに保たれていた秩序は崩れ、もはやマーケット・ポートフォリオは王様ではいられなくなるのだ。これは、ルーレットで赤ばかりにかけるカジノ団体客や、1回のゲームに莫大な掛け金をつぎ込む金持ちギャンブラーにも似ているかもしれない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160620#1466418870
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160615#1465987267